2013/10/21

総合 –EUウオッチャー

銀行監督一元化が正式決定、EU財務相理が承認

この記事の要約

EU28カ国は15日に開いた財務相理事会で、ユーロ圏の大手銀行の監督を欧州中央銀行(ECB)に一元化する制度の導入を最終承認した。関連法案は欧州議会が9月に可決済み。これによって一元化が正式決定となり、2014年下期に新 […]

EU28カ国は15日に開いた財務相理事会で、ユーロ圏の大手銀行の監督を欧州中央銀行(ECB)に一元化する制度の導入を最終承認した。関連法案は欧州議会が9月に可決済み。これによって一元化が正式決定となり、2014年下期に新制度が発足する見通しとなった。

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「銀行同盟」創設の第1段階となる銀行監督の一元化では、ユーロ圏の銀行のうち資産総額が300億ユーロを超えるか、本国の国内総生産(GDP)の20%以上を占める大手銀行の監督権が各国当局からECBに移る。約130行が対象になるとみられる。その他の中小銀行は引き続き各国当局が監督するが、必要に応じてECBが介入する権限を持つ。

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今回の正式決定を受けて、ECBは新制度が始動するまでに対象銀行のストレステスト(健全性審査)を実施し、資本不足に陥っている銀行を特定し、対応を進めることになっている。

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銀行同盟創設に向けた次の焦点となるのが、銀行の破綻処理を一元化する「単一破綻処理メカニズム(SRM)」と呼ばれる制度の導入。ECBの監督対象となる銀行に問題が生じた場合の処理に関して、ECBと欧州委員会の代表、対象国の当局者で構成される「破綻処理委員会」が統括するというものだ。

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欧州委が7月に発表した案では、破綻処理委が対象銀行を救済するか、閉鎖するかを判断し、処理計画を欧州委に勧告するが、最終的には欧州委が決定権を持つ。破綻または救済の処理は、新設する統一基金を活用する。同基金は銀行同盟に参加するユーロ圏18カ国および自主的に参加する非ユーロ圏の銀行が、預金保険でカバーされている預金の1%に相当する額を拠出して創設される。

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このSRM導入をめぐっては、欧州委に大きな権限が与えられることや、公的基金を使った銀行救済がEU基本条約に反するとしてドイツ、英国などが反発し、調整が難航している。同日の理事会でも協議されたが、前進はなかった。

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ECBのストレステストで資本不足と判定され、救済が必要と判断された銀行は同基金から資本注入を受けることになるため、銀行監督と破綻処理の一元化は両輪の関係にあり、SRMが始動しなければ銀行監督の一元化は完全に機能しない。SRM創設は欧州議会が改選のため4月に解散することから、加盟国が年内に合意し、議会に審議を委ねなければ、正式決定が大幅にずれ込むことになる。

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