2013/10/14

環境・通信・その他

水圧破砕法によるシェールガス採掘、環境アセスの実施義務化へ

この記事の要約

欧州議会は9日の本会議で、水圧破砕法によるシェールガスなどの非在来型ガス開発に対する規制案を賛成多数で可決した。1985年に採択された「環境影響評価指令」を改正し、EU域内でシェールガス、シェールオイル、石炭ガスなどの採 […]

欧州議会は9日の本会議で、水圧破砕法によるシェールガスなどの非在来型ガス開発に対する規制案を賛成多数で可決した。1985年に採択された「環境影響評価指令」を改正し、EU域内でシェールガス、シェールオイル、石炭ガスなどの採掘を計画するすべての事業者を対象に、事前に環境アセスメントの実施を義務付ける。今後、閣僚理事会で改正法案について審議する。

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地下2,000~3,000メートルの岩盤層に含まれるシェールガスは、水圧破砕(フラッキング)による採掘法が確立したことで米国を中心に生産が本格化し、世界のエネルギー需給構造に影響を及ぼし始めている。しかし、岩盤に大量の水と化学薬品を高圧で注入して亀裂をつくり、そこからガスを回収する水圧破砕法をめぐっては、地中にメタンが漏出して土壌や地下水を汚染する危険性などが指摘され、環境面の懸念が高まっている。

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EU内ではポーランドや英国などがシェールガス開発の推進を主張しているのに対し、フランスでは水圧破砕法を用いた非在来型資源の開発・採掘を禁止する法律が制定され、実質的にシェールガス開発が不可能な状況にある。欧州委員会は7月、水圧破砕法によるシェールガス開発について、当面はEUレベルでの規制を見送る方針を固めたが、欧州議会では予防原則に基づいて共通ルールを定めるべきだとの声が高まっていた。

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現行の環境影響評価指令によると、天然ガスの採掘事業では生産量が1日当たり50万トンを超えるプロジェクトについて、環境アセスメントの実施が義務付けられている。シェールガスは技術的な問題で1カ所での生産量が限られるため、多くのケースで規制の対象外となる。今回の改正案が成立すると、シェールガスやシェールオイルの採掘プロジェクトでは生産量に関係なく、すべての事業者が所定の手順に沿って環境への影響を特定・評価することが義務付けられる。法案にはこのほか、影響評価に事業者や規制当局の意向が反映される事態を防ぐため、調査を行う専門家が満たすべき条件を定めて独立性を確保することが盛り込まれた。

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一方、仏憲法評議会は11日、サルコジ政権化の2011年に制定された、水圧破砕法による非在来型資源の開発・採掘を禁止する法律は合法との判決を言い渡した。これは法律の制定前に仏当局からシェールガス探査の認可を取得していた米Schuepbachが、規制の無効化を求めて訴えを起こしていたもの。Schuepbach側は水圧破砕法が環境に悪影響を与えることを示す科学的根拠はないなどと主張し、実質的にシェールガス開発を不可能にする法律を無効とするよう求めていたが、憲法評議会は「環境保護を目的とした予防的措置」であり、現行法は合法と結論づけた。

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