メキシコ通信大手のアメリカ・モビルは16日、オランダ通信最大手KPNの買収を断念したと発表した。KPN株主の利益を守るため設立された財団が買収阻止に動いたことから、株式公開買い付け(TOB)による買収は無理と判断した。
\メキシコの富豪カルロス・スリム氏が率いるアメリカ・モビルは8月、30%を出資するKPNの残り株をTOBを通じて総額72億ユーロで取得し、買収する計画を発表していた。
\これに対して、KPNが民営化された際に、同社の株主、従業員の利益を守る目的で設立されたKPN財団は、アメリカ・モビルの動きを敵対的買収と批判し、財団が持つ権利を行使してKPNの議決権株の49.9%を取得し、買収に待ったをかけた。
\その後もアメリカ・モビルはTOBを実施する構えを示していたが、KPN財団が買収阻止の構えを崩さなかったため、買収を断念した。保有しているKPN株を保持し続けるか、売却するかは未定としている。
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