2013/10/28

総合 –EUウオッチャー

ECBが銀行資産査定の概要発表、128行対象に統一基準で

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は23日、ユーロ圏の銀行監督をECBに一元化する制度が始動する前に実施する銀行の資産査定とストレステストの概要を発表した。対象となるのはユーロ圏の主要128行。11月に開始する資産査定では統一基準を […]

欧州中央銀行(ECB)は23日、ユーロ圏の銀行監督をECBに一元化する制度が始動する前に実施する銀行の資産査定とストレステストの概要を発表した。対象となるのはユーロ圏の主要128行。11月に開始する資産査定では統一基準を用いて、これまでよりも厳しく審査する。

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ECBによる資産査定とストレステストは、監督一元化制度の発足を前に、銀行の経営状況を正確に把握し、問題のある銀行への対応を迅速に進めるための準備を整えるのが目的。結果は来年11月、監督権がECBに移譲される直前に公表する予定だ。

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資産査定では、来年1月にユーロを導入するラトビアの銀行を含めた128行の13年12月末時点の資産内容を点検し、不良債権などリスク資産の状況を審査する。不良債権については、過去のストレステストで各国の定義が異なっていたことから、欧州銀行監督機構(EBA)が前日に打ち出した統一基準(後続記事参照)に従い、支払い期限から90日以上経っても返済がない場合に不良債権とみなす。

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続いて実施するストレステストでは、普通株と内部留保で構成する狭義の中核的自己資本比率が8%以上に保つことを各行に求めながら、景気後退、株価下落といった一定の厳しいシナリオのもとでも同基準を順守できるかどうかをチェックする。

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以上の審査の結果、“不合格”と判定された銀行に資本増強を求める。状況が深刻で、再建不能と判断した銀行については破綻処理を進めることになる。

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EBAがギリシャの信用不安に端を発した金融市場の混乱を受けて過去に実施したストレステストでは、自己資本比率に絞り込んで審査が行われた結果、銀行の経営状況を総合的に把握することができなかった。10年に実施された1回目のテストでは、合格と判断されたアイルランドの銀行がその後に資本不足に陥り、同国がEUと国際通貨基金(IMF)に金融支援を要請する事態に追い込まれ、テスト結果への市場の信用を失うという苦い経験を味わった経緯がある。

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このためECBは、統一基準を設けた上で、ストレステストと同時に銀行の資産の質も精査し、各行が抱えるリスクを徹底的に洗い出す。また、自己資本比率の基準もEBAが実施した前回調査の5%より厳しくし、しかも国際的な銀行資本規制「バーゼルIII」の7%を上回る水準に設定した。

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審査の対象銀行は、ドイツの24行、スペインの16行、イタリアの15行、フランスの13行、オランダの7行、アイルランドの5行、ギリシャとキプロス、ポルトガルの各4行など。ユーロ圏の銀行の総資産の85%を占める。対象銀行の最終リストは来年にまとめる予定で、追加が予想される。

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