2013/10/28

欧州ビジネスウオッチ

英政府が仏EDFと原発建設で合意、20年ぶりに原発新設

この記事の要約

仏電力最大手のフランス電力公社(EDF)は21日、英南西部のヒンクリーポイントに原子力発電所を建設することで合意したと発表した。総額160億ポンド(約189億ユーロ)を投じて、仏アレバが開発した欧州加圧水型原子炉(EPR […]

仏電力最大手のフランス電力公社(EDF)は21日、英南西部のヒンクリーポイントに原子力発電所を建設することで合意したと発表した。総額160億ポンド(約189億ユーロ)を投じて、仏アレバが開発した欧州加圧水型原子炉(EPR)2基を設置する。英国での原発新設は1995年以来約20年ぶり。福島第1原発の事故後に欧州で建設される初の原発となる。

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同プロジェクトにはEDFが45~50%、アレバが10%、中国の広核集団(CGN)と中国核工業集団(CNNC)が合わせて30~40%を出資する。EDFは他の企業の出資も募っており、出資比率は変わる可能性がある。

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建設する原発は出力1,650メガワットで、英国の電力需要の約7%を賄える。2023年の稼働を見込む。

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合意した契約には、同原発の電力料金を35年間は1メガワット当たり92.5ポンド以上とすることを英政府が保証することが盛り込まれている。同価格は現在の電力料金の2倍を超える水準となる。

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欧州では福島第1原発の事故を受けて、ドイツが原発廃止を決めるなど脱原発の動きが広がっている。しかし、原発を含む20の発電所が耐用期限を迎え、新たな電力供給源の確保が急務となっている英国は、二酸化炭素(CO2)排出量が少ないクリーン・エネルギーとして原発の建設を推進する方針だ。

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ただ、今回のプロジェクトでは、政府による電力料金の保証が事実上の公的支援に当たるため、EUの欧州委員会の承認を得る必要がある。民間の原発事業に対して、このような形で公的支援が行われるのは欧州では初めて。

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欧州委は今年末で失効するEUの国家補助規制の見直しに際して、当初は原発への公的支援を例外扱いとし、補助金などの交付に際して欧州委の承認を不要とする方針だったが、脱原発を進めるドイツやオーストリアの反発により方針を転換し、妥当性を厳しく審査する方針を今月初めに打ち出したばかり。原発で初の審査案件となる今回のケースがどのように扱われるかが大きく注目されそうだ。

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