2013/11/4

産業・貿易

留め具めぐる通商紛争、中国がWTOに再提訴

この記事の要約

中国政府は10月30日、EUが世界貿易機関(WTO)から協定違反と認定された中国製留め具に対する反ダンピング措置を是正していないとして、WTOに再提訴した。双方は紛争処理手続きに沿って15日間にわたって同問題について協議 […]

中国政府は10月30日、EUが世界貿易機関(WTO)から協定違反と認定された中国製留め具に対する反ダンピング措置を是正していないとして、WTOに再提訴した。双方は紛争処理手続きに沿って15日間にわたって同問題について協議するが、解決に至らなかった場合は中国がWTOに紛争処理小委員会(パネル)の設置を要請し、本格的に争うことになる。

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EUは2009年1月、中国の留め具メーカーが家具、建築など幅広い分野で使われる金属製のねじ、ボルトといった留め具を不当な廉価で輸出し、域内業界に打撃を与えているとして、26.5~85%に上る反ダンピング関税の適用を開始した。

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これに対して中国政府は、WTOのルールに反する不当な措置として、同年7月に提訴。WTOのパネルは2010年12月、EUのダンピング措置を協定違反とする裁定を下した。EUは域内業界の「大部分」が中国のダンピングで打撃を受けたと主張しているが、EUが被害を立証できたのは業界の27%に過ぎず、さらに反ダンピング税の算定に際して中国を市場経済国とみなさず、ダンピングを国策として一括で扱ったが、企業単位で扱わなければならなかったという中国側の主張が認められた。

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EUの欧州委員会は同裁定を不服として上訴したが11年7月に敗訴が確定し、WTOの勧告に基づいて反ダンピング措置を是正することを求められた。これを受けてEUは12年1月、中国と10月までに是正措置を講じることで合意。反ダンピング関税の税率を22.9~74.1%まで引き下げ、是正の完了を宣言した。しかし、中国側は同措置では不十分として、再提訴に踏み切った。

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