2013/11/11

競争法

ソルベイとイネオスの塩ビ事業統合、欧州委が“待った”

この記事の要約

欧州委員会は5日、欧州化学大手のソルベイ(ベルギー)とイネオス(スイス)が欧州のポリ塩化ビニル(PVC)事業を統合し、合弁会社を設立する計画について、本格的な調査を開始すると発表した。初期審査の結果、漂白剤に使われる次亜 […]

欧州委員会は5日、欧州化学大手のソルベイ(ベルギー)とイネオス(スイス)が欧州のポリ塩化ビニル(PVC)事業を統合し、合弁会社を設立する計画について、本格的な調査を開始すると発表した。初期審査の結果、漂白剤に使われる次亜塩素酸ナトリウム事業などで競争上の問題が浮上したためで、改めて精査した上で統合の可否を判断する。

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ソルベイとイネオスは5月、PVC樹脂の主原料となるクロロビニルの欧州事業を統合し、折半出資の合弁会社を設立することで合意していた。同合弁会社は売上高が43億ユーロに上り、信越化学に次ぐ世界2位のPVCメーカーとなる。設立から4~6年以内にイネオスがソルベイの持ち株を買い取り、同社を完全子会社とすることが取り決められており、ソルベイはPVC事業から撤退することになる。

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欧州委の初期審査で問題となったのは、パイプや窓サッシなどの材料となるポリ塩化ビニル懸濁液(S-PVC)と、浄水・消毒などで用いられる漂白剤の原料となる次亜塩素酸ナトリウム事業。ソルベイとイネオスが両事業の欧州大手であることから、統合によって健全な競争が損なわれ、消費者に悪影響を及ぼす恐れがあると判断した。これをめぐって両社は、競争上の是正策としてドイツのPVC工場を手放すことを提案したが、欧州委はなお懸念が払拭されないとして、本格的な調査の開始を決めた。欧州委は2014年3月21日までに調査を完了し、統合の可否を最終判断することになっている。

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