2013/11/18

総合 –EUウオッチャー

欧州委が各国予算案を初審査、仏・スペインなどに厳しい注文

この記事の要約

欧州委員会は15日、ユーロ圏各国が提出した2014年度予算案の事前審査の結果を発表し、フランス、スペインなどについて厳しい勧告を行った。欧州委による各国予算案の事前審査は初めて。\ EUは今年、ギリシャを発端とする債務危 […]

欧州委員会は15日、ユーロ圏各国が提出した2014年度予算案の事前審査の結果を発表し、フランス、スペインなどについて厳しい勧告を行った。欧州委による各国予算案の事前審査は初めて。

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EUは今年、ギリシャを発端とする債務危機がユーロ圏を大きく揺るがした経験を踏まえ、ユーロ参加国に対する財政監視強化策として、各国の予算案を欧州委員会が事前に審査することを決定。ユーロ圏各国は次年度予算案を議会の承認に先立って毎年10月15日までに欧州委に提出し、審査を受けることが求められる。欧州委は予算案がEUの財政規律に反すると判断した場合、修正を勧告する。今回の審査は、債務危機でEUから金融支援を受け、財政規律とは別の枠組みで財政再建を求められているギリシャ、アイルランド、ポルトガル、キプロスを除く13カ国が対象となった。

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欧州委は2015年までに財政赤字を財政規律で上限となっている国内総生産(GDP)比3%以内に抑えることが義務付けられているフランスについて、14年度予算案は赤字削減目標を満たしているものの、ギリギリの状態にあり、目標内に収まらない恐れがあると指摘。停滞している構造改革の取り組みを強化するよう促した。

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16年までの財政規律順守を求められているスペインに関しては、14年度の財政赤字削減目標を達成できない恐れがあるとして、構造的赤字のさらなる削減を進めるよう勧告した。

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一方、イタリアはフランス、スペインのように過剰赤字是正手続きを発動されておらず、赤字削減目標は設定されていないものの、公的債務がGDP比133%と財政規律の上限である60%を大きく超過し、ギリシャに次ぐ最悪の水準にある。欧州委は同国が債務の圧縮を求められているにもかかわらず、14年度予算に約30億ユーロの公共投資支出を盛り込んだことなどを問題視している。

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このほか欧州委は、フィンランド、ルクセンブルク、マルタの予算案が財政規律に違反する恐れがあると指摘。また、非ユーロ圏のクロアチアについて、12年の財政赤字がGDP比5%と上限を大きく超え、今後も規律違反が続く見通しであることから、過剰赤字是正手続きの発動をEU財務相理事会に勧告する方針を打ち出した。

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