2013/11/18

総合 –EUウオッチャー

スペインも金融支援脱却、アイルランドに続き

この記事の要約

ユーロ圏は14日に開いた財務相会合で、スペインへの金融支援を来年1月に終了することを決定した。同支援による銀行の再建が進み、金融危機を脱したと判断したため。債務・金融危機でEUなどから金融支援を受けた国の支援脱却はアイル […]

ユーロ圏は14日に開いた財務相会合で、スペインへの金融支援を来年1月に終了することを決定した。同支援による銀行の再建が進み、金融危機を脱したと判断したため。債務・金融危機でEUなどから金融支援を受けた国の支援脱却はアイルランドに続いて2カ国となる。

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スペインへの金融支援は、債務危機対応ではなく、同国の銀行の救済が目的。スペインの銀行は、2008年のリーマンショックに端を発した世界金融危機による不動産バブル崩壊で、巨額の不良債権が発生。ギリシャを震源地とする信用不安がスペインに飛び火したこともあって銀行の経営が悪化し、多くの銀行が深刻な資金不足に陥った。政府は財政が悪化しており、十分な公的資金を注入できない状況にあったことから、2012年6月にEUに支援を要請。EUは同年7月、EUの金融安全網である「欧州安定メカニズム(ESM)」を通じて、最大1,000億ユーロの支援実施を決めた。

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スペイン政府は同支援で得た資金を銀行再編基金(FROB)経由で危機に陥っていた銀行に注入し、再建を後押しした結果、金融システムの混乱が終息し、各銀行は金融市場で資金を調達できるようになった。これを受けて政府は追加支援が不要と判断し、ユーロ圏財務相会合の承認を得た。支援終了後に不測の事態が生じた場合に備える信用枠の設定をESMに要請することも見送り、自力でさらなる金融市場の安定に取り組む。

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ユーロ圏では金融・債務危機でギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペイン、キプロスの5カ国がEUなどから金融支援を受けた。このうち、2010年11月にEUと国際通貨基金(IMF)から総額675億ユーロの金融支援実施を取り付けたアイルランド政府は今月初め、12月15日に支援を脱却することを決めていた。非常時の信用枠設定を要請するかどうかは決まっていなかったが、政府は14日、同要請を行わないことを正式発表した。

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