2013/11/18

総合 –EUウオッチャー

ESMの銀行直接支援、運用ルールで合意=EU財務相理

この記事の要約

EU加盟国は15日に開いた財務相理事会で、EUの「欧州安定メカニズム(ESM)」が資本不足に陥ったユーロ圏の銀行を直接支援できるようにする制度の運用ルールで合意した。銀行監督の一元化に先立って欧州中央銀行(ECB)が実施 […]

EU加盟国は15日に開いた財務相理事会で、EUの「欧州安定メカニズム(ESM)」が資本不足に陥ったユーロ圏の銀行を直接支援できるようにする制度の運用ルールで合意した。銀行監督の一元化に先立って欧州中央銀行(ECB)が実施する資産査定、ストレステストで資本不足と判定された銀行から適用する。

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ESMは債務危機が深刻化し、独自に資金調達できなくなったユーロ参加国に緊急融資を行う常設の金融安全網として発足した。当初は資金繰りが悪化した銀行への支援を想定しておらず、スペイン、アイルランドの金融システムが危機に陥った際は政府に銀行救済に必要な資金を提供する形で支援を行った。

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しかし、同方式では対象国の債務が膨らみ、さらなる金融支援の要請を招くという悪循環に陥ることから、EUは昨年6月、ユーロ圏の銀行監督を一元化することを条件に、ESMが銀行に資本を直接注入できるようにすることで合意していた。

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直接支援のルールをめぐっては、ユーロ圏が6月の財務相会合で、◇ESMが備える融資能力5,000億ユーロのうち、銀行支援に回す額は600億ユーロに制限する◇銀行が市場で資金を調達することができず、対象国に支援の余力がない場合の最終手段として実施する――ことなどで合意済み。EU財務相理事会では、これに加えて、同制度の開始にはユーロ圏各国による議会での採決などの手続きを通じた承認を必要とすることでも合意した。ドイツが総選挙後の連立協議を進めている段階にあり、暫定的な現政権が現時点で運用ルールについて最終同意できない状況にあることを考慮したものだ。

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ESMによる銀行直接支援の前提となる銀行監督をECBに一元化する制度は、2014年11月の始動が決まっている。

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