2013/11/18

総合 –EUウオッチャー

スペインの検問強化に「違法性なし」、欧州委がジブラルタル問題で裁定

この記事の要約

イベリア半島南端にある英領ジブラルタルの領有をめぐり、英国とスペインが対立している問題で、欧州委員会は15日、スペイン当局による国境での検問強化に違法性はないとの調査結果をまとめた。欧州委は国境通過の状況を引き続き監視す […]

イベリア半島南端にある英領ジブラルタルの領有をめぐり、英国とスペインが対立している問題で、欧州委員会は15日、スペイン当局による国境での検問強化に違法性はないとの調査結果をまとめた。欧州委は国境通過の状況を引き続き監視する方針を示すとともに、スペインと英国の双方に対して人とモノの円滑な移動の確保に努めるよう求めた。

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ジブラルタルは過去300年以上にわたって英国とスペインの摩擦の種だったが、沈静化していた領有権争いが再燃した直接のきっかけは、乱獲防止の名目でジブラルタルの地元政府が7月、コンクリートブロックを周辺海域に沈めて人工環礁を設置したこと。スペイン側は対抗措置として、麻薬やたばこなどの密輸防止を口実に国境での検問を強化し、国境付近で渋滞が慢性化している。英政府はこれに対し、「域内での移動の自由を保障したEUルールに違反する」としてスペイン側の対応を強く批判。欧州委に現地での調査を要請していた。

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欧州委は9月末に調査団を派遣し、国境での検問や密輸などの実態を調べていた。同委はスペイン当局が実施している国境での検問について、「EU法違反の証拠は見つからなかった」とし、違法性はないと結論づけた。そのうえで、スペインに対して検問所のゲートを増やすなど物理的な措置を講じるとともに、「正確なリスク分析」に基づき「ターゲットを絞り込んで」効率的にチェックを行うよう要請。さらにスペインと英国の双方に対し、たばこなどの密輸に関する情報共有体制を構築するよう勧告した。両国は6カ月以内に改善状況を欧州委に報告するよう求められている。

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