2013/12/9

総合 –EUウオッチャー

欧州中銀が金利据え置き、総裁は追加金融緩和示唆

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は5日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を現行の年0.25%に据え置くことを決めた。ECBは前月に0.25ポイントの利下げを実施したばかりで、今回の決定は予想通り。 […]

欧州中央銀行(ECB)は5日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を現行の年0.25%に据え置くことを決めた。ECBは前月に0.25ポイントの利下げを実施したばかりで、今回の決定は予想通り。ドラギ総裁は、ユーロ圏の景気回復のペースが鈍く、物価も低水準で推移していることから、必要に応じて追加金融緩和を実施する構えを示した。

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ユーロ圏は7-9月期に前期比0.1%のプラス成長となったが、伸び率は前期の0.3%から縮小し、日米を大きく下回った。低下が続いていたインフレ率も11月に前月を0.2ポイント上回る0.9%に上昇し、デフレ懸念は遠のいたものの、なおECBが上限目標値とする2%を大きく下回っている。

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ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、インフレ率が低い状況が長期化するとの見通しを示した上で、「必要とされる限り、緩和的な金融政策を維持する」と述べ、ユーロ圏の景気回復を下支えするため、さらなる金融緩和に踏み切る用意があることを明らかにした。

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金利は過去最低水準にあるが、ユーロ圏の銀行が財務強化を優先し、貸し渋っているため、金融緩和が実体経済に及ぼす効果は限定されている。ドラギ総裁は具体的な追加措置について明示しなかったが、同日の理事会では貸し渋り解消に向けて、民間金融機関が手元資金をECBに預け入れる際の金利(オーバーナイト金利)を0%からマイナス金利にする案が検討されたことを明らかにした。また、追加策の候補とされる長期資金供給オペ(LTRO)の再実施に関しても、「もし実施するとしても、銀行の資本形成を支えるためでなく、経済のために使われるようにするつもりだ」と述べた。

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ECBは同日発表した内部経済予測で、ユーロ圏の2013年の予想成長率を前回(9月)と同じマイナス0.4%に据え置いた一方、14年の予想成長率は1.1%とし、0.1ポイント上方修正した。輸出の拡大、内需の回復を織り込んだもので、15年については1.5%の成長を見込んでいる。インフレ率は、13年が1.4%、14年が1.1%とし、それぞれ前回から0.1、0.2ポイント引き下げた。

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