2013/12/9

総合 –EUウオッチャー

英首相がEU・中国FTAに意欲、EUは慎重姿勢

この記事の要約

中国を訪問したキャメロン英首相は2日、北京で李克強首相や習近平国家主席と相次ぎ会談し、EUと中国の自由貿易協定(FTA)締結に積極的な姿勢を示した。\ 100人を超える過去最大規模の訪問団とともに訪中したキャメロン首相は […]

中国を訪問したキャメロン英首相は2日、北京で李克強首相や習近平国家主席と相次ぎ会談し、EUと中国の自由貿易協定(FTA)締結に積極的な姿勢を示した。

\

100人を超える過去最大規模の訪問団とともに訪中したキャメロン首相は李首相との会談後の会見で、「中国の台頭は中国国民のみならず英国、世界にとって好機だと考えている」と語り、英国は貿易面で他のEU加盟国よりも進歩的だと強調。「一部の欧州諸国とその他の国々は、中国を貿易障壁という竹のカーテンの向こうに追いやろうとしている。英国はこの障壁を打ち破りたいと考えている」と述べ、自身が先頭に立ってEUと中国間のFTAを推進していく方針を李首相に伝えたことを明らかにした。一方、李首相は、英中両国が保護主義の打破と貿易・投資の自由化の促進で合意したことを明らかにするとともに、中国からの投資に対する英国のオープンな姿勢を歓迎していると語った。

\

EUと中国のFTAに意欲を見せるキャメロン首相の発言に対し、EUは慎重な姿勢を見せている。欧州委員会のポロック報道官は、「現段階で中国とFTAについて協議するのは時期尚早だと考えている」と述べ、今は先ごろ開始したEUと中国の投資協定交渉に専念すべきとの考えを示した。

\

EUと中国の貿易額は2012年に4,350億ユーロで、EUにとって中国は米国に次ぐ第2位の貿易パートナーとなっている。ただ、EUと中国の間では太陽光パネルや通信機器、鋼管などを巡って貿易摩擦が繰り返されていることに加え、FTAによって安価な製品が大量流入することで域内産業が打撃を受けるとの懸念から、EUでは中国とのFTAに慎重な意見が強い。

\