2013/12/9

競争法

ガスプロムが制裁回避へ改善策提示、原油連動の価格設定がカギに

この記事の要約

ロシアの国営ガス会社ガスプロムがEU競争法に違反した疑いがあるとして欧州委員会が調査を進めている問題で、同委のアルムニア副委員長(競争政策担当)は4日、ガスプロム側から近く改善策を提案する旨の意思表示があったことを明らか […]

ロシアの国営ガス会社ガスプロムがEU競争法に違反した疑いがあるとして欧州委員会が調査を進めている問題で、同委のアルムニア副委員長(競争政策担当)は4日、ガスプロム側から近く改善策を提案する旨の意思表示があったことを明らかにした。競争法違反と認定され、巨額の制裁金が科される事態を回避するのが狙いで、「数日以内に書面で」同社から具体策が提示される可能性があるという。

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欧州委は昨年9月、ガスプロムが中・東欧における独占的な地位を乱用し、ガス供給ルートの多様化を阻害したり、ガス価格を不当につり上げている可能性があるとして正式な調査を開始した。欧州委は特に、同社が長期契約においてガス価格を原油価格に連動させて高値に設定している点などを問題視しており、アルムニア副委員長は今年10月、競争法違反の疑いが強まったとして同社に対する法的手続きの準備を進めていることを明らかにしていた。

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ガスプロムのアレクサンドル・メドベージェフ副社長は英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)とのインタビューで、同社と欧州委、ガスプロムの過半数株を保有するロシア政府は「(欧州委からガスプロムに)異議告知書が送られる前に」、「相互に受け入れ可能な解決策」を探ることで合意したと説明。「最終的な和解策は欧州市場におけるガスプロムの活動を損なうことなく、競争当局の懸念を払拭するものでなければならない」と述べた。同氏は欧州委に提案する改善策の具体的な内容については言及を避けたが、「比較的短期間で―おそらく3~4カ月程度で」和解合意できるとの見方を示している。

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ロシアとの関係をめぐっては、先にウクライナがロシアの圧力で自由貿易協定(FTA)を含むEUとの連合協定への調印を見送った経緯があり、EUとの間で緊張が高まっている。仮に欧州委がガスプロムの商慣行を競争法違反と認定した場合、ロシアから欧州向けのガス供給などに影響が及ぶ可能性も否定できず、双方とも新たな火種は抱えたくないところ。ただ、欧州委が原油価格に連動させるガス価格の設定方法の廃止を求めた場合、「ガスプロムは要求を拒否するだろう」(ロンドン大学のアラン・ライリー教授)といった見方も出ており、和解に向けた交渉は難航する可能性がある。

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