2014/1/13

総合 –EUウオッチャー

英でEU離脱の国民投票法案が上院通過、期限内の可決・成立は不透明

この記事の要約

英上院は10日、EU離脱の是非を問う国民投票の実施に関する法案の採決を行い、賛成多数で第2読会を通過した。法案は今後、最終段階の審議に入るが、保守党と連立を組む自民党や野党・労働党はEU離脱に反対しており、修正協議を経て […]

英上院は10日、EU離脱の是非を問う国民投票の実施に関する法案の採決を行い、賛成多数で第2読会を通過した。法案は今後、最終段階の審議に入るが、保守党と連立を組む自民党や野党・労働党はEU離脱に反対しており、修正協議を経て2月末の期限までに法案が成立する可能性は低そうだ。

英国では伝統的にEU懐疑論が根強く、ユーロ危機が深刻化した2011年以降の世論調査ではEU離脱派が残留派を上回っている。こうしたなかキャメロン首相は昨年1月、2015年の次期総選挙で保守党が勝利した場合、EUとの間で英国の加盟条件について再交渉した上で、17年末までにEU残留の是非を問う国民投票を行う意向を表明した。しかし、EU離脱を唱える保守党議員は国民投票の実施を法律として明文化するよう要求。連立を組む自民党はEU離脱に反対の立場をとっているため、保守党の若手議員が議員立法の形で「国民投票法案」を提出し、昨年7月から審議が続いている。

今後、法案は下院に戻され、野党側から修正案が提出される見通し。審議期間は2月28日までとなっており、修正協議が長引いて期限までに与野党間の調整がつかなければ最終的に廃案となる公算が大きい。

国民投票法案をめぐり、労働党からは保守党内におけるキャメロン首相の求心力低下の表れとの指摘が出ている。同党の重鎮マンデルソン上院議員は採決に先立ち、キャメロン首相は保守党内のEU懐疑派に「人質にとられている」と発言。「われわれは英国を欧州の外に追いやるのではなく、欧州内で英国の影響力を高めるためにすべてのエネルギーを注ぐべきだ」と強調した。