アイルランド政府は7日、債務危機による国際金融支援を脱却してから初の10年物国債の入札を実施し、目標としていた37億5,000万ユーロを調達した。応募は発行額の約4倍となる140億ユーロ。市場は同国の財政を信認した格好で、アイルランドは自力での財政再建に向けて順調なスタートを切った。
国債管理庁(NTMA)を通じて実施した今回の入札は、国外の機関投資家が主な対象。旺盛な需要を背景に、平均落札利回りは3.543%と、前回(2013年3月)の4.15%を大きく下回った。
アイルランドは2010年11月にEUと国際通貨基金(IMF)から総額675億ユーロの金融支援を取り付け、債務危機克服に着手。厳しい緊縮策を導入して財政再建に取り組んだ結果、一時は15%を超えた10年物国債の利回りが急低下するなど状況が好転し、政府は昨年12月に金融支援を脱却していた。
同国政府は金融支援終了に際して、不測の事態が生じた場合のセーフティーネットとしてEU、IMFに予防的融資枠の設定を求めると見られていたが、同要請を行わず、完全に自力で財政再建を進めることを決めた。その実現に向けた試金石として注目された長期国債の入札では、12年7-9月期に前期比1.7%の経済成長を記録したことなどに支えられて応募が殺到。信用力の回復が改めて確認された。ヌーナン財務相は声明で「金融支援から完全に脱却したことが示された」と胸を張った。
アイルランド政府は14年の国債償還に必要な資金を確保済みで、今回の国債発行は15年向けの資金調達が目的。今年は60~100億ユーロの調達を目指している。