2014/1/13

総合 –EUウオッチャー

ルーマニア・ブルガリアに労働市場完全開放、英独など9カ国が制限撤廃

この記事の要約

EU労働市場がルーマニア、ブルガリアに完全開放された。2007年1月に加盟した同2カ国に対しては、ドイツ、英国、フランスなど9カ国が労働者の流入を制限していたが、1月1日付で同措置が撤廃され、両国の労働者は域内全域で就労 […]

EU労働市場がルーマニア、ブルガリアに完全開放された。2007年1月に加盟した同2カ国に対しては、ドイツ、英国、フランスなど9カ国が労働者の流入を制限していたが、1月1日付で同措置が撤廃され、両国の労働者は域内全域で就労許可証を取得することなく自由に働けるようになる。

EUでは加盟国が相互に労働市場を開放し、各国の労働者が国境を越えて自由に移動できることが原則となっている。しかし、2004年以降に加盟した中東欧諸国に関しては、安価な労働力が西欧に大量流入し、雇用に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、従来から加盟していた加盟国は7年を上限に就労を制限する権利がある。07年1月に加盟したルーマニア、ブルガリアに同権利を行使できる期限は2013年12月末までだった。

両国の就労制限を1日に撤廃したのは、独、英、仏、オーストリア、ベルギー、スペイン、オランダ、ルクセンブルク、マルタの9カ国。

EUの主要国ではユーロ圏の債務危機に伴う景気悪化で失業率が高水準にある中、中東欧からの移民急増で国内の雇用がさらに圧迫されると懸念する動きが根強い。英国のキャメロン首相は、ルーマニアとブルガリアへの労働市場開放が目前に迫った昨年11月、中東欧の加盟国から英国の手厚い福利を目的に大量の労働者が流入しているとして、EUに域内での人の移動に関するルールを抜本的に見直し、1人当たりの国内総生産(GDP)が一定水準に達しない国の労働者については他の加盟国での就労を制限できるようにするよう呼びかけたばかりだ。

こうした動きに対して、欧州委員会のラースロー・アンドル委員(雇用・社会問題担当)は1日発表した声明で、ルーマニアとブルガリアに対してはEU19カ国が労働市場を開放済みで、すでに両国から300万人以上の労働者が他の加盟国に流出したことから、英国などに移民が殺到する恐れはないとして、不安払拭に努めた。