2014/1/13

産業・貿易

EUが鉄道新技術開発を強化、官民共同で9.2億ユーロ投じ

この記事の要約

欧州委員会はこのほど、鉄道分野の新技術開発に官民共同で取り組む計画を発表した。域内鉄道事業の競争力強化が目的。2014年からの7年間で9億2,000万ユーロを投じ、研究開発(R&D)を進める。 欧州委によると、 […]

欧州委員会はこのほど、鉄道分野の新技術開発に官民共同で取り組む計画を発表した。域内鉄道事業の競争力強化が目的。2014年からの7年間で9億2,000万ユーロを投じ、研究開発(R&D)を進める。

欧州委によると、R&Dの重点となるのは◇コスト効率に優れ、輸送能力が高い次世代鉄道車両の開発◇輸送能力、運行本数増加に対応できる運行管理システムの開発◇低騒音、低コストなどクオリティーが高い鉄道インフラの整備◇効率的なチケット販売システムの強化に向けたITソリューションの開発◇他の交通機関との接続を効率的に進めるためのソリューションの開発――の5項目。

同プロジェクトには域内のほぼすべての鉄道設備、運営、インフラ企業が参加する。資金は官民が分担し、EUが4億5,000万ユーロ、民間企業が4億7,000万ユーロを拠出する。EUの拠出額は、前期(2007-13年)の鉄道向けR&D投資の1億5,500万ユーロから3倍に拡大する。

欧州委によると、これまでに民間では鉄道設備メーカーの独シーメンス、仏アルストム、タレス、伊アンサルドSTSなどが総額2億7,000万ユーロの拠出を表明している。

欧州の鉄道網整備は世界最高クラスの水準だが、欧州委によると現在は旅客需要の6%、貨物需要の10%を賄うにとどまっている。同プロジェクトによってEUの鉄道事業の国際競争力強化と、地球温暖化ガス排出量が少ない鉄道の利用者拡大を図る。具体的には、建設、運営、保守を含めた鉄道のコストの最大50%削減、輸送能力の倍増を目指す。