2014/1/13

環境・通信・その他

ネオニコ系農薬が人間の脳に悪影響か、EFSAが許容暴露レベル見直しへ

この記事の要約

欧州食品安全機関(EFSA)はこのほど、世界各地で広く使用されている2種類の農薬が人間の脳の発達を阻害する恐れがあるとの見解を明らかにした。EFSAはさらに正確なデータを得るため、脳や神経の発達に対する農薬の毒性について […]

欧州食品安全機関(EFSA)はこのほど、世界各地で広く使用されている2種類の農薬が人間の脳の発達を阻害する恐れがあるとの見解を明らかにした。EFSAはさらに正確なデータを得るため、脳や神経の発達に対する農薬の毒性について引き続き研究を進める一方、許容される暴露レベルの指針を見直し、許容摂取量を引き下げる方針を示している。

人間の脳や神経に悪影響を及ぼす危険性があるとされたのは、ネオニコチノイド系農薬の「アセタミプリド」と「イミダクロプリド」。ネオニコチノイド系農薬は近年、世界各地で深刻化しているミツバチが突然大量に失踪する「蜂群崩壊症候群」との関連性が指摘されている。EFSAは昨年1月にまとめた報告書で、蜂群崩壊症候群との関連性については「十分なデータがない」として結論を見送ったものの、ネオニコチノイドがミツバチの中枢神経系に作用して麻痺や死をもたらすとの見解を表明。これを受けてEUは昨年5月、イミダクロプリドを含む3種類のネオニコチノイド系農薬について、トウモロコシ、ナタネ、ヒマワリなど、ミツバチを誘引する植物への使用を向こう2年間にわたり禁止する措置を決定している。

EFSAは声明で、最新の研究と過去の実験データの分析結果は「アセタミプリドとイミダクロプリドが、学習や記憶などの機能と関連性のある神経細胞や脳構造の発達に悪影響を及ぼす可能性があることを示唆している」と指摘。「許容暴露レベルに関する指針の一部は発達神経毒性を防ぐための十分な保護手段とならない可能性があるため、許容摂取量を引き下げるべきだとの結論に達した」と説明している。