2014/1/13

環境・通信・その他

仏当局がグーグルに15万ユーロの制裁、個人情報保護めぐり

この記事の要約

仏データ保護監督機関「情報処理と自由に関する全国委員会(CNIL)」は8日、米検索大手グーグルのプライバシーポリシーが個人情報保護に関する国内法に違反しているとして、15万ユーロの制裁金を科したと発表した。CNILによる […]

仏データ保護監督機関「情報処理と自由に関する全国委員会(CNIL)」は8日、米検索大手グーグルのプライバシーポリシーが個人情報保護に関する国内法に違反しているとして、15万ユーロの制裁金を科したと発表した。CNILによる制裁金としては過去最高額。グーグルによる個人情報の取り扱いをめぐっては、他のEU加盟国も調査や法的手続きを進めており、仏当局と同様の決定を下す可能性がある。

グーグルは2012年3月以降、個々の製品やサービスに対する合わせて60以上のプライバシー関連のドキュメントを統合し、検索、電子メール、動画共有サイトのユーチューブなど、複数のサービスを利用しているユーザーの情報を一元管理している。個々のユーザーの関心やニーズを検索結果に反映させたり、より関連性の高い広告を掲載することが可能になるなど、「ユーザー体験の向上につながる」というのがグーグル側の主張だが、EU加盟国のデータ保護当局で構成する第29条作業部会は、異なるプラットフォーム間で個人情報が共有される点を問題視。同年10月にグーグルの新ポリシーはEU法に違反すると結論づけ、4カ月以内に改善策を講じるよう求めた。

しかし、グーグルが期限までに対応をとらなかったため、CNILの主導でフランス、英国、ドイツ、イタリア、スペイン、オランダの6カ国が合同で調査を実施。CNILは昨年6月、調査結果をもとに◇ユーザーが自分に関する個人情報がどのように利用されているか実質的に理解できるような手段を講じる◇個人情報の保持期間を定め、当初の利用目的に必要な期間を超えて個人情報を保持しないようにする◇クッキーを設定する際は予めユーザーに通知し、同意を得る――などの措置を講じるようグーグルに通告。3カ月以内に対応しない場合は制裁を科すと警告していた。

CNILは声明で、グーグルは個人情報をどのように取り扱っているかをユーザーに十分説明しておらず、そのためユーザーはデータへのアクセスや消去などの権利を行使できない状況に置かれていると指摘。さらにグーグルはユーザーの端末にクッキーを保存する前に本人の同意を得る義務や、個人情報の保持期間を明示する義務を怠ったと批判。制裁金の支払いに加え、8日以内にフランス版の同社ホームページ上でCNILの決定について経緯を説明した声明を発表し、少なくとも48時間掲載するよう命じたことを明らかにした。

グーグル仏法人の広報担当は「CNILの決定を詳しく検証し、今後の対応を決める」とコメントしている。なお、フランスと共同で調査を行った5カ国のうち、スペインのデータ保護当局は先月、グーグルの新たなプライバシーポリシーが国内法に違反するとして90万ユーロの制裁金を科している。