2014/1/20

競争法

有料テレビの米映画放映権契約を調査、競争法違反の疑いで

この記事の要約

米大手映画会社5社が欧州の大手有料テレビ事業者と結んでいる映画放映権契約で、放映対象地域を各テレビ事業者の営業地域に限定する条項を設けていることに関し、欧州委員会は13日、こうした条項がEU競争法に違反している可能性があ […]

米大手映画会社5社が欧州の大手有料テレビ事業者と結んでいる映画放映権契約で、放映対象地域を各テレビ事業者の営業地域に限定する条項を設けていることに関し、欧州委員会は13日、こうした条項がEU競争法に違反している可能性があるとして正式に調査を開始したことを明らかにした。

20世紀フォックス、ワーナー・ブラザース、ソニー・ピクチャーズ、NBCユニバーサル、パラマウント・ピクチャーズの映画会社5社は、英BスカイB、仏カナル・プリュス、伊スカイ・イタリア、独スカイ・ドイチュラント、西DTSなど、原則として1カ国につき1社の有料テレビ事業者と映画の独占放映権契約を結んでいる。放映権は各事業者の属する国のみに限定され、国境を越えて放映することはできない。欧州委は放映権契約におけるこうした「絶対的地域保護」条項が、競争制限的協定を禁じたEU機能条約101条に違反する疑いがあるとして2012年から事実関係を調査していた。

欧州委のアルムニア委員は、他国市場への積極的販売の制限を含め、地域を限定した放映権を付与することは必ずしも競争法に違反するものではなく、欧州全域ベースで放映権を販売することを義務付けることを求めているわけではないと強調。調査の主眼は、他国の潜在的視聴者に対する消極的販売を阻害したり、加入者が国外に滞在している場合にも視聴が制限されるケースだと説明した。

欧州委は調査期間を具体的に定めていないが、調査の結果、競争法違反が認定されれば、企業は年間売上高の最大10%に相当する制裁金を課される可能性がある。