2014/1/20

産業・貿易

欧州議会が公共調達めぐる法案可決、市場開放求め圧力強める

この記事の要約

欧州議会は15日に開いた本会議で、政府部門の物品購入などの公共調達で市場を開放していない国の企業に対して、EU加盟国での公共調達入札に参加することを制限する内容の法案を賛成多数で可決した。公共調達に閉鎖的な国に対し、市場 […]

欧州議会は15日に開いた本会議で、政府部門の物品購入などの公共調達で市場を開放していない国の企業に対して、EU加盟国での公共調達入札に参加することを制限する内容の法案を賛成多数で可決した。公共調達に閉鎖的な国に対し、市場の開放を求める圧力を強めるのが狙い。

法案によると、EU加盟国の調達当局は欧州委員会の許可を条件に、500万ユーロを超える公共調達について、EU域外産の物品・サービスが総額の50%超を占める応札を排除することができる。この措置は、世界貿易機関(WTO)の政府調達協定(GPA)未加入国またはEUと自由貿易協定(FTA)を締結していない国が適用対象となるが、経済的脆弱性が高い後発開発途上国は除外される。

同法案については内容が保護主義的であり、貿易自由化を推進するEUのイメージを損なうと懸念する声が議会の一部からあがっていたが、法案のラポルトゥール(報告作成担当者)を務めるキャスパリー欧州議員は、「我々は市場を閉鎖しようとしているわけではなく、他国に対してEU企業に調達市場を開放するよう促そうとしているのだ」と強調した。法案の成立には、EU理事会との交渉が必要になる。

欧州委によると、EUが2010年に全体の85%に当たる3,250億ユーロの公共調達契約を外国企業からの入札に開放している半面、米国は32%(1,780億ユーロ)、日本は28%(270億ユーロ)にとどまっている。