2014/1/20

欧州ビジネスウオッチ

米マッケソン、独セレシオへのTOB失敗

この記事の要約

医薬品卸大手の米マッケソンは13日、独同業セレシオに対する株式公開買い付け(TOB)に失敗したと発表した。TOBの成立条件とした75%以上の株式確保を実現できなかったためで、セレシオは今後も独フランツ・ハニエルの傘下にと […]

医薬品卸大手の米マッケソンは13日、独同業セレシオに対する株式公開買い付け(TOB)に失敗したと発表した。TOBの成立条件とした75%以上の株式確保を実現できなかったためで、セレシオは今後も独フランツ・ハニエルの傘下にとどまることになった。

マッケソンは昨年10月、セレシオを1株当たり現金23ユーロで買収する方針を表明した。これは買収観測が浮上する直前の3カ月間の加重平均株価を39%上回る水準で、全株式の価値を約40億ユーロと評価した格好。セレシオの債務約20億ユーロも引き受けるため、買収総額は最大60億ユーロを超える見通しだった。フランツ・ハニエルは同TOBを支持し、保有するセレシオ株50.01%をすべて譲渡する予定だった。

同TOBに対しては米ヘッジファンドのエリオットが横やりを入れた。エリオットはTOB計画の発表後、セレシオ株を大量に確保したうえで、TOB価格が低すぎると批判。マッケソンはこれを受けて1月第2週に買い取り価格を50セント増の23.5ユーロに引き上げ、エリオットの同意を得ていた。このため、セレシオに対するTOBは成立するとみられていたが、マッケソンが確保した株式は75%に達しなかった。TOB失敗の発表後、セレシオ株は急落したことから、エリオットは多額の損失を抱え込んだとみられる。

マッケソンはセレシオの買収により、売上高を1,500億ドル強に拡大し、世界最大手に浮上する見通しだった。また、フランツ・ハニエルは売却益で債務を圧縮するとともに、事業再編を推し進める意向だった。