2014/1/27

産業・貿易

スウェーデンが兼任可能取締役を制限、EUの資本要求指令に対応

この記事の要約

スウェーデン政府は24日、金融機関の取締役に関する要件を定めたEU規制に基づき、7月から1人が兼任できる取締役の数を制限するルールを導入する方針を明らかにした。ロイター通信によると、銀行協会は1年間の移行期間を設けるよう […]

スウェーデン政府は24日、金融機関の取締役に関する要件を定めたEU規制に基づき、7月から1人が兼任できる取締役の数を制限するルールを導入する方針を明らかにした。ロイター通信によると、銀行協会は1年間の移行期間を設けるよう求めていたが、政府は金融システムの安定化に向けて規制改革を推進するEUの方針に従わざるを得ないと判断したもようだ。

EUでは金融危機の再発防止に向けた規制改革の一環として、昨年7月に「第4次資本要求指令(CRD 4)」が施行された。CRD 4は金融システムの安定強化と金融機関の健全性確保を目的として、銀行や投資会社の自己資本比率に関する共通ルールを定めたもので、金融機関の取締役に関する要件が盛り込まれている。それによると、金融システムに影響力を及ぼすと考えられる大手金融機関の取締役を務めている人物が兼任できる取締役の数は、常勤取締役1社と非常勤取締役2社、または非常勤取締役4社に制限されている。

スウェーデンの金融業界では同国の名門ワーレンベリ家が強大な力を持ち、4大銀行の1つであるSEBのマーカス・ワーレンベリ会長は自動車大手サーブ、家電大手エレクトロラックス、国営資源企業LKABの会長を務めるほか、多数の企業の取締役を兼任している。また、SEBのヤコブ・ワーレンベリ副会長も同行の筆頭株主である大手投資会社インベスターの会長をはじめ、大手航空会社SASや通信機器大手エリクソンの副会長などを兼任している。

こうした事情から業界側は兼任できる取締役の数を制限するルールの導入を先送りするよう求めていたが、政府は他のEU加盟国と歩調を合わせて新指令を順守せざるを得ないと判断した。ノーマン金融市場担当相はロイターの取材に対し、「新ルールは政府が積極的に提案したものではないが、大部分のEU加盟国は金融機関の取締役に関する規制が正しいと考えている。スウェーデン政府は違う考えを持っているが、EUでは互いに譲り合う必要がある」と述べた。

スウェーデン銀行協会は移行期間が設けられなかったことに対して失望感を表明している。同協会のヨハン・ハンシング氏は「各銀行では役員の選定プロセスが進められており、できるだけ早く最終的なルールを知る必要がある」と発言。政府に対し、2月末までに新ルールを提示するよう求めている。