2014/1/27

産業・貿易

欧米版TPPの投資条項に関する協議中断、欧州委が意見聴取

この記事の要約

EUが米国との間で交渉を進めている環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)をめぐり、欧州委員会は21日、投資家対国家紛争(ISD)条項に関して利害関係者などから意見を募るパブリックコンサルテーションを実施すると発表した。同条 […]

EUが米国との間で交渉を進めている環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)をめぐり、欧州委員会は21日、投資家対国家紛争(ISD)条項に関して利害関係者などから意見を募るパブリックコンサルテーションを実施すると発表した。同条項の導入に強い懸念の声があがっていることを受けたもので、期間は3カ月間。パブリックコンサルテーションの実施に伴い、ISD条項に関する協議は中断される。

ISD条項は企業などの投資家を保護するためのルールで、投資相手国の対応によって不利益を被った場合に、相手国政府に対して訴訟を起こすことを可能にするもの。同条項をめぐっては、大企業の利益のみを優先する制度であるとして、欧州各国の労働組合や環境団体などが批判の声をあげている。

欧州委のデグフト委員(通商担当)は声明で、「欧州の一部の人々が深刻な懸念を抱いていることは承知している」と述べる一方で、アイルランドを除く全てのEU加盟国は第三国との投資協定にISD条項を設けていると指摘。「欧州委は何か新しいことを推し進めようとしているわけではなく、国家政策や拘束力のある条約にしっかりと定着している方針を追求している」と述べ、同条項の導入に対する理解を求めた。

TTIPはTPP(環太平洋連携協定)の欧米版にあたる。EUと米国は全分野の貿易・投資の自由化を目指し、昨年2月に交渉開始で合意した。実現すれば世界貿易の約3割を占める巨大自由貿易圏が誕生することになり、投資の活性化や雇用拡大につながると期待されている。