2014/2/3

総合 –EUウオッチャー

銀行破綻処理の統一基金、創設前倒しを検討へ

この記事の要約

ユーロ圏の銀行の破綻処理に活用する統一基金を創設する案をめぐり、計画を前倒しで進める動きが出ている。10年をかけて基金を完全に整備する案に対して、遅すぎるという批判が強まっているためで、EU加盟国は期間短縮を協議する見通 […]

ユーロ圏の銀行の破綻処理に活用する統一基金を創設する案をめぐり、計画を前倒しで進める動きが出ている。10年をかけて基金を完全に整備する案に対して、遅すぎるという批判が強まっているためで、EU加盟国は期間短縮を協議する見通しだ。

同基金「単一破綻処理基金」は、銀行同盟創設の第2段階として導入される破綻処理を一元化する制度の柱となるもの。EU加盟国が昨年12月の首脳会議で合意した案では、各国が国内銀行の拠出によって創設する基金を2016年までの10年間で段階的に統合し、最終的に総額550億ユーロの統一基金とすることになっている。

これに関しては、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が、金融安定化のために重要な役割を負う同基金が完全に整うまで10年もかかるのは問題だとして、期間の短縮が必要との見方を表明。関連法案を審議する欧州議会内でも、同様の声が強まっている。

1月27日に開かれたユーロ圏財務相会合では、同問題が取り上げられ、アイルランドのヌーナン財務相が創設期間の短縮に前向きの意向を表明した。ドイツ、フランス、オランダなどは短縮化に慎重な姿勢を示しているが、加盟国側が修正に応じなければ関連法案が欧州議会を通過しない情勢となっているため、見直しに向けた協議が始まる見込みだ。