2014/2/3

競争法

テレフォニカのEプルス買収計画、欧州委が独当局への審査権委任を拒否

この記事の要約

欧州委員会は1月30日、スペイン通信最大手テレフォニカがオランダ同業KPNの独携帯電話サービス子会社Eプルスを買収する計画に関連して、ドイツの競争当局が求めていた調査権限の委任を拒否したことを明らかにした。買収が実現した […]

欧州委員会は1月30日、スペイン通信最大手テレフォニカがオランダ同業KPNの独携帯電話サービス子会社Eプルスを買収する計画に関連して、ドイツの競争当局が求めていた調査権限の委任を拒否したことを明らかにした。買収が実現した場合に直接影響が及ぶのはドイツ市場に限定されることから、独当局は同国主導で調査を進めたい考えを示していた。しかし、欧州委はこれまでに域内の携帯電話サービス市場における合併案件の調査を数多く手がけてきた実績があることや、EUが定める合併規則の適用に一貫性を持たせる必要があることから、引き続き同委が調査を行うべきだと判断した。欧州委は5月14日までに買収の可否について結論を下す。

テレフォニカは昨年7月、Eプルスを総額85億5,000万ユーロで買収することで合意した。Eプルスは加入者2,340万人を擁するドイツ3位の携帯電話サービス会社。テレフォニカが傘下の同4位O2とEプルスを統合して誕生する新会社は加入者が約4,300万人となり、ドイツテレコム傘下のTモバイル(加入者3,660万人)、英ボーダフォン(同3,390万人)を抜いて1位に浮上する。欧州委は初期調査の結果、買収計画を認めた場合、ドイツで独自の通信ネットワークを保有する大手携帯電話サービス会社が4社から3社に減り、大手による寡占化が進んで健全な競争が阻害される恐れがあると判断。昨年12月に本格調査の実施を発表した。

EU合併規則によると、企業買収や合併によって影響を受ける市場が1カ国に限られている場合、欧州委は当該国の競争当局に審査を委任することができることになっている。独当局は同ルールに基づき、欧州委に対して昨年11月に調査権限の委任を申し立てていた。

欧州委は2012年、香港のコングロマリット、ハチソン・ワンポアが仏通信最大手フランステレコム傘下の携帯電話サービス会社オレンジのオーストリア部門「オレンジ・オーストリア」を買収し、オーストリア子会社「ハチソン3G(H3G)」と統合する計画を認可した際、H3Gが持つ周波数を新規参入する事業者に低価格で売却することや、オーストリア当局が実施する周波数追加割り当ての入札で、新規事業者に優先権を与えることなどを条件とした。欧州委はこのほか、ハチソンがアイルランドの携帯電話子会社「3アイルランド」を通じてテレフォニカ傘下の「O2アイルランド」を買収する計画に関しても、昨年11月から本格調査を進めている。