2014/2/17

産業・貿易

GMトウモロコシ栽培認可、閣僚理で決着つかず欧州委が最終判断へ

この記事の要約

EU加盟国は11日開いた総務相理事会で、遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ「TC 1507」の栽培認可の是非について特定多数決による採決を行ったが、認可支持派、反対派のいずれも決定に必要な票数を得ることができず、規定によ […]

EU加盟国は11日開いた総務相理事会で、遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ「TC 1507」の栽培認可の是非について特定多数決による採決を行ったが、認可支持派、反対派のいずれも決定に必要な票数を得ることができず、規定により欧州委員会に最終判断を委ねた。欧州食品安全機関(EFSA)は繰り返し「1507は安全」との見解を表明しており、欧州委はこれに沿って同品種の認可手続きを進めるものとみられる。

問題のTC 1507は、米ダウ・アグロサイエンスと、米デュポン傘下のパイオニア・ハイブレッド・インターナショナルが共同開発した害虫抵抗性・除草剤耐性のトウモロコシで、北米や中南米を中心に「Herculex」のブランド名で広く栽培されている。欧州委は2001年に同品種の認可申請を受理し、EFSAはこれまで計6回にわたりTC 1507に「安全宣言」を出している。しかし、英国やスペインを中心とするGM推進派と、安全性への懸念から域内での商業栽培に強く反対するフランスやイタリアなどの間で溝が埋まらず、審査期間は13年に及んでいる。こうしたなかEU司法裁判所の一般裁判所は昨年9月、GM作物の認可手続きが不当に長引いている状態はEU法に違反するとの判断を示し、これを受けて欧州委が11月、加盟国に同品種の栽培認可を勧告した。

総務相理ではEU28カ国のうち、仏、伊、ハンガリーなど19カ国が栽培認可に反対票を投じたのに対し、賛成派は英国、スペイン、スウェーデン、フィンランド、エストニアの5カ国にとどまった。しかし、当初は反対を表明していたドイツが棄権したのが影響して反対派は否決に必要な票数を集めることができず、決着がつかなかった。

欧州委のボルジ委員(保健・消費者政策担当)は、閣僚理で決着がつかない場合は欧州委が最終決定権を持つEUの規定に触れ、「棄権は実質的に賛成と同じだ」と指摘。栽培認可の是非について直接判断を示すことは控えたものの、「EFSAの見解に従って手続きを進めることになる」と述べた。

環境団体は採決の結果を受けて加盟国の対応を強く非難している。グリーンピースは声明で「欧州委は大多数の加盟国、欧州議員の3分の2、そしてEU市民の大部分が表明しているGM作物に対する懸念を無視することは許されない。欧州で栽培されている作物の安全性を保証するルールに対する違反行為をただちに改めなければならない」と指摘している。