2014/2/24

総合 –EUウオッチャー

伊レンツィ政権が発足、閣僚の半数が女性に

この記事の要約

イタリアで22日、同国史上最年少の首相となるレンツィ新首相(39)率いる新政権が発足した。連立政権は前政権と同じ枠組みだが、政権交代をアピールするため閣僚の半数に女性を起用。閣僚の平均年齢も47.8歳と、歴代内閣で最も若 […]

イタリアで22日、同国史上最年少の首相となるレンツィ新首相(39)率いる新政権が発足した。連立政権は前政権と同じ枠組みだが、政権交代をアピールするため閣僚の半数に女性を起用。閣僚の平均年齢も47.8歳と、歴代内閣で最も若い体制となった。

民主党の書記長であるレンツィ氏は13日、同党の幹部会で、昨年4月に発足したレッタ政権による改革の停滞を糾弾し、レッタ首相を辞任に追い込み、ナポリターノ大統領による新首相指名を21日に受諾。同日に組閣を終え、22日に大統領府で就任宣誓を行った。

新政権では16人の閣僚のうち、内相として留任する中道右派「新中道右派」のアルファノ党首など5人を除いて前政権から入れ替えた。経済の再建、構造改革の舵取り役となる最重要ポストの経済・財務相には、経済協力開発機構(OECD)のチーフエコノミストである実務家のパドアン氏を起用。外相には、民主党で欧州問題の責任者だったモゲリーニ氏が就任した。女性は外相のほか、ピノッティ国防相など8人。ピノッティ氏はイタリア初の女性国防相となる。

イタリアでは政局が不安定な状況が続いており、ベルルスコーニ元首相が2011年11月に信用不安対策での失政、スキャンダルで失脚してから3度目の政権交代となる。レンツィ新首相はこうした連鎖に終止符を打つため長期政権を目指しているが、前首相を選挙を経ず強引に追い落とした手法には批判的な目も向けられている。新内閣で首相も含めて国政未経験者が多く、政権運営を不安視する動きもあることから、早期に実績を積み上げ、国民の信頼を得ることが求められる。

最大の課題となるのが経済再生。戦後最長の景気後退にあえいでいたイタリアは、昨年10~12月期にプラス成長に転じたが、実体経済はなお脆弱で、失業率は13%近くに達している。若者の失業率は41%を超える。新政権は法人税の引き下げ、雇用促進に向けた労働市場改革などを掲げる見通しだが、EUに求められている財政再建との両立は至難の業だ。

このほか、安定した政権の発足の障害となっている選挙制度の改革も大きな課題となる。レンツィ首相は24日に議会で所信表明演説を行う予定。