2014/2/24

産業・貿易

金融取引税の具体案、5月までの合意目指す=独仏首脳会談

この記事の要約

仏オランド大統領と独メルケル首相は19日にパリで会談し、両国を含むEU11カ国が合意している金融取引税導入の早期実現を目指すことで一致した。調整が難航している具体案について、5月の欧州議会選挙より前の合意を目指すとしてい […]

仏オランド大統領と独メルケル首相は19日にパリで会談し、両国を含むEU11カ国が合意している金融取引税導入の早期実現を目指すことで一致した。調整が難航している具体案について、5月の欧州議会選挙より前の合意を目指すとしている。

「トービン税」として知られる金融取引税のEUでの導入は、金融危機の元凶となった投機的な取引の抑制と、経営危機に陥った銀行を公的支援するための財源を銀行業界に前もって負担させるのが目的。加盟国のうち9カ国以上が法案などに賛同すれば、それらの国だけで先行して実施することを認めるEU基本条約の規定に基づき、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オーストリア、ベルギー、ギリシャ、ポルトガル、スロベニア、スロバキア、エストニアの11カ国が導入することを決め、昨年1月のEU財務相理事会で承認された。

欧州委が来年1月の導入を目指して発表した具体案では、株式・債券取引に0.1%、デリバティブ(金融派生商品)取引に0.01%の率で課税する。11カ国以外での金融取引であっても、11カ国に拠点がある取引関係者が含まれている場合や、取引される金融商品が11カ国で発行されたものであれば、課税対象とする。

11カ国は当初、今年1月の導入を目指していた。しかし、英国が非導入国の取引にも課税することに反発し、欧州司法裁判所に提訴したことや、11カ国内で制度設計をめぐる溝があるため、実現はずれ込んでいる。

オランド大統領によると、メルケル首相との首脳会談では、具体案をめぐる協議が難航していることに関して、完璧な案をまとめるのは不可能で、時間がかかれば離脱する国が出る恐れがあるとして、「不完全でも、実現しないよりは望ましい」との見解で一致した。

制度設計に関しては、フランスがデリバティブへの課税に難色を示している。今回の首脳会談では妥協案として、まず株式・債券取引に適用し、デリバティブには段階的に課税するという案が話し合われたもようだ。