2014/3/10

総合 –EUウオッチャー

EUがロシアに段階的制裁、ウクライナ問題めぐり

この記事の要約

EUは6日に臨時首脳会議を開き、ウクライナ南部クリミア半島で実効支配を強めるロシアに対して段階的な制裁措置をとることを決定した。第一段階として同国との査証(ビザ)免除協議などを凍結。緊張緩和に向けた姿勢がみられない場合に […]

EUは6日に臨時首脳会議を開き、ウクライナ南部クリミア半島で実効支配を強めるロシアに対して段階的な制裁措置をとることを決定した。第一段階として同国との査証(ビザ)免除協議などを凍結。緊張緩和に向けた姿勢がみられない場合には、資産凍結などさらに踏み込んだ措置を取るとしている。

ファンロンパイEU大統領は会議後の記者会見で、「ロシアによるウクライナの主権と領土の一体性に対する不当な侵害を強く非難する」と述べたうえで、ロシアへの措置は三段階から成ると説明。まずビザ免除、経済に関する新協定の各交渉を凍結し、ウクライナ側と緊張緩和に向けた協議を開始しない場合には資産凍結や渡航禁止に踏み切り、ロシアとの定例の首脳会議を中止する。さらに、ロシア側がウクライナの状況を一段と不安定化させる場合は、EU各国とロシアの間で経済分野を含む双方の関係に「深刻かつ広範で重大な結果をもたらす」と警告した。ロシアはEUにとって第3位の貿易相手国で、石油・天然ガスの最大の輸入先国。こうした経済・エネルギー面での相互依存関係の深さから、EUは当初、ロシアに対する制裁に慎重な姿勢を見せていた。しかし、クリミア自治共和国議会がロシアへの編入を求める決議を採択するなど、ロシアによるクリミア半島掌握が進んでいることを受け、対抗措置が必要と判断した。

ファンロンパイ大統領はまた、ウクライナ新政権がこれまで「極めて冷静な対応」を取ってきたと賞賛。同国との連合協定調印の早期実現に努力するとともに、経済安定化に向け強力な金融支援を実施する考えを明らかにした。欧州委員会は5日、ウクライナの政治・経済情勢の安定化を目指し、国際金融機関と協力して今後数年間で110億ユーロ以上の金融支援を提供すると発表している。