2014/3/10

総合 –EUウオッチャー

欧州中銀が金利据え置き、景気回復で追加緩和見送り

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は6日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏18カ国に適用される最重要政策金利を現行の年0.25%に据え置くことを決めた。金利据え置きは4カ月連続。ユーロ圏では景気回復が力強さを欠き、物価上昇の足取りも […]

欧州中央銀行(ECB)は6日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏18カ国に適用される最重要政策金利を現行の年0.25%に据え置くことを決めた。金利据え置きは4カ月連続。ユーロ圏では景気回復が力強さを欠き、物価上昇の足取りも重いことから追加金融緩和を求める動きがあるが、このところ景気改善を示すデータが相次いでいることなどから現状維持が妥当と判断した。

ECBは昨年11月に利下げを実施してから、必要に応じて追加金融緩和に踏み切る姿勢を示しており、ドラギ総裁は前月、新たに発表される経済データや景気予測を見極めた上で対応を検討すると述べていた。

2月中旬に発表されたユーロ圏の13年10~12月期の国内総生産(GDP)は前期比0.3%増となり、上げ幅は前期の0.1%から拡大。欧州委員会の最新経済予測では、14年のGDP予想伸び率が上方修正された。さらに景況感なども上向いていることから、今回の金利据え置きは予想通り。ECBも同日発表した内部経済予測で、14年の予想成長率を前回(12月)の1.1%から1.2%に下方修正した。

ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、「前回の理事会の後に出たニュースは、多かれ少なかれポジティブなものだった」と指摘。今後も低金利政策を継続することを明言しながらも、「ユーロ圏(経済)は雇用が増えるほど回復していないが、安定状態にある」と述べ、景気回復が軌道に乗りつつあるとの認識を示した。

ユーロ圏のインフレ率は0.8%と低水準にある。しかし、ECBは景気回復に伴って物価上昇が強まるとみており、今回の内部予測では14年の予想インフレ率が前回を0.1ポイント下回る1%に下方修正されたが、15年に1.5%、16年に1.8%まで上昇すると予想している。このためドラギ総裁は、ユーロ圏はインフレ率がマイナスとなる状況が長期化するデフレに陥る恐れはないとの見方を示した。

市場ではECBが追加利下げを見送るものの、量的金融緩和の一環として実施した国債購入で高まった金融市場の流動性を吸収する「不胎化」措置を停止し、流動性を高める措置を発表するとの見方があった。これについてもドラギ総裁は、このところ金融市場の変動が落ち着いていることや、同措置の効果が短期的であることに触れ、現時点では不要との判断を示した。