2014/3/10

産業・貿易

鉱物輸入業者の自己認証制度導入へ、紛争鉱物の流通阻止で

この記事の要約

EUは5日、武装勢力の資金源となる「紛争鉱物」の不使用を進めるため、鉱物の輸入業者の自己認証制度を導入する方針を示した。欧州議会と理事会の審議を経て、来年末までの実施を目指す。 紛争鉱物とは、中部アフリカのコンゴ民主共和 […]

EUは5日、武装勢力の資金源となる「紛争鉱物」の不使用を進めるため、鉱物の輸入業者の自己認証制度を導入する方針を示した。欧州議会と理事会の審議を経て、来年末までの実施を目指す。

紛争鉱物とは、中部アフリカのコンゴ民主共和国およびその周辺国で産出される金、タンタル、スズ、タングステンの4鉱物を指す。コンゴでは1990年代、鉱物資源が集中する地域を主な舞台に内戦が激化。市民の貧困が深刻化して治安が悪化し、鉱山では児童や女性の強制労働が行われるなど人権侵害が常態化した。国連は4種の鉱石を中心にした鉱業とその流通の収益が武装勢力の資金源であるとして制裁措置を採択。米国では上場企業に対し紛争鉱物の使用状況などの開示を義務づける法律の運用が昨年1月から始まった。

EUは、上記の4鉱物を輸入する業者が、経済協力開発機構(OECD)の「紛争鉱物デューディリジェンスガイダンス」に従って鉱物の調達先と流通経路の調査を実施し、輸入した鉱物が紛争地帯に由来するものではないことを自ら認証する制度を創設する方針。この認証制度への参加は任意だが、認証業者は政府調達で有利になるなどのメリットがある。また、精錬・精製業者の説明責任の向上、サプライチェーンの透明性改善、責任ある鉱物資源調達を促進するため、OECDと協力して「責任ある精錬・精製業者」のリストを毎年発表する。

EUは世界で産出されるスズ、タングステン、タンタルの25%、金の15%を輸入している。欧州委員会の調べによると、11年にEUに輸入されたタンタルとタングステンの7%はコンゴ民主共和国とルワンダから輸入されたものだった。このほか、マレーシア、中国、カザフスタンなど第三国を経由して紛争鉱物が輸入されているケースもあるという。