2014/3/10

欧州ビジネスウオッチ

ビベンディ通信部門に2社が買収提案、仏最大の携帯会社誕生か

この記事の要約

仏メディア・通信大手ビベンディは5日、分社化を決めていた通信部門SFRを買収する提案を仏コングロマリット(複合企業)のブイグ、仏ケーブルテレビ大手ニュメリカーブルの親会社アルティスの2社から受けたことを明らかにした。ブイ […]

仏メディア・通信大手ビベンディは5日、分社化を決めていた通信部門SFRを買収する提案を仏コングロマリット(複合企業)のブイグ、仏ケーブルテレビ大手ニュメリカーブルの親会社アルティスの2社から受けたことを明らかにした。ブイグによる買収が実現すると、誕生する新会社は仏最大の携帯電話サービス会社となる。

ビベンディは昨年11月、中核のメディア部門に経営資源を集中するため、SFRを2014年半ばに分社化すると発表したが、他社への売却も選択肢のひとつとし、5日まで買収提案を受け付けていた。

ブイグの6日の発表によると、提案した買収額は145億ユーロ。ビベンディは現金105億ユーロと、ブイグ傘下の通信会社ブイグ・テレコムとSFRの統合によって誕生する新会社の株式46%を受け取る。アルティスの提案は不明だが、英フィナンシャル・タイムズによると総額150億ユーロ。ロイター通信は、うち約11億ユーロが現金支払いと報じている。

仏携帯電話サービス市場でSFRは2位、ブイグ・テレコムは3位。ブイグによると、新会社は最大手オレンジ(旧フランステレコム)を抜き、首位に躍り出る。

同市場は現在、イリアッド傘下のフリー・モバイルを加えた4社体制にある。ビベンディはフリーが2012年に低料金を掲げて参入し、価格競争が激化したことから、SFRの切り離しを決めた。

ビベンディは6月24日に開催予定の年次株主総会までに両社の買収案を検討し、どちらの提案を受け入れるか決める。ブイグの買収が決まった場合は、仏携帯電話市場が3社体制に縮小して寡占が進み、価格競争が弱まりかねないとして仏競争当局とEUの欧州委員会が難色を示し、買収の可否をめぐる審査が長期化するのは必至。認可されない可能性もある。ビベンディはこうしたリスクも考慮しながら判断するとみられる。