2014/3/17

産業・貿易

ECBが銀行資産査定の要領発表、37兆ユーロのリスク資産が対象に

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は11日、ユーロ圏の銀行監督をECBに一元化する制度が始動する前に実施する銀行の資産査定の要領を公表した。対象となるユーロ圏の主要128行のリスク資産のうち、58%に相当する37兆2,000億ユーロ […]

欧州中央銀行(ECB)は11日、ユーロ圏の銀行監督をECBに一元化する制度が始動する前に実施する銀行の資産査定の要領を公表した。対象となるユーロ圏の主要128行のリスク資産のうち、58%に相当する37兆2,000億ユーロの資産を統一の基準を用いて審査する。

ECBによる資産査定は、11月の監督一元化制度発足を前に、銀行が抱える問題をあぶり出し、対応を迅速に進めるための準備を整えるのが目的。結果は続いて実施するストレステスト(健全性審査)と合わせて、10月に発表する。

EUは信用不安対策の一環として、2010年から銀行のストレステストを実施しているが、資本調査だけでは銀行の健全性を総合的かつ的確に判断することはできず、調査結果と銀行が実際に抱えるリスクに大きな開きがあるとの指摘が多く、調査結果に対する市場の信頼性は低かった。このため、銀行監督のECBへの一元化を機に、ストレステストと同時に銀行の資産の質も精査し、統一基準を採用して各行が抱えるリスクを徹底的に洗い出すことを決めた。

ECBが調査担当者用のマニュアルとして公表したガイドラインによると、債権については、欧州銀行監督機構(EBA)が新たに打ち出した支払い期限から90日以上経っても返済がない場合に不良債権とみなすという定義を採用。ローン資産に関しては、担保の価値を過去1年間に確認していない場合、再評価した上で査定する。

また、「レベル3資産」と呼ばれるデリバティブ商品、不動産など評価が難しい資産も詳細に査定し、同資産の保有率が高い29行を対象に重点的に調べる。

各銀行は資産査定の結果を2014年の財務諸表に反映させるが、自国のルールに反した報告が発覚した場合は13年にさかのぼっての修正を求められる。

資産査定とストレステストの結果、資本不足と判定された銀行は、資本増強を迫られることになる。