2014/3/17

産業・貿易

公共調達の電子インボイスを共通化、欧州議会が指令案可決

この記事の要約

欧州議会は11日の本会議で、公共調達における電子インボイスに関する指令案を賛成多数で可決した。電子政府の実現に向けた取り組みの一環として、国ごとに異なる電子インボイスの規格を統一し、域内の公的機関に共通インボイスの導入を […]

欧州議会は11日の本会議で、公共調達における電子インボイスに関する指令案を賛成多数で可決した。電子政府の実現に向けた取り組みの一環として、国ごとに異なる電子インボイスの規格を統一し、域内の公的機関に共通インボイスの導入を義務付けるという内容。公共調達の電子化を通じて発注機関と事業者側の双方でコスト削減を実現し、国境を越えた公共調達を円滑化するのが狙いだ。閣僚理事会の正式な承認を経て新ルールが導入される。

欧州委員会によると、EUにおける公共調達の規模は域内総生産(GDP)の18%に上るが、発注機関と事業者の間でやり取りされるインボイスのうち、電子化されているものは4~15%にとどまる。欧州委は国によって規格が異なることが電子インボイスの普及を遅らせる最大の要因になっているとして、昨年6月にEUレベルで規格を統一したうえで、域内のすべての公的機関にEU共通の電子インボイスへの対応を義務付けることを提案。加盟国と欧州議会の代表は今年1月に指令案の内容で基本合意していた。

計画によると、EUの専門機関である欧州標準化委員会(CEN)が電子インボイスの統一規格を策定する。欧州委はCENによる標準化作業に3年程度を要し、その後すべての公的機関が共通インボイスを受け取れる体制を整えるには1年半ほどかかるとみている。このため新ルールの導入は早くて2018年第3四半期になる見通しだ。

欧州委は電子インボイスの導入によって公共調達の煩雑な事務手続きが簡素化され、年間23億ユーロの経費節減が可能としている。一方、すでに電子インボイスを導入している国は統一規格への変更を求められるが、欧州委は国境を越えた公共調達が活発化することでより有利な条件での契約が可能になるなどと説明し、最大でも2年程度で移行コストを償却できるとの研究報告を引用している。

なお、事業者側は新ルール導入後も引き続き紙のインボイスを発行することができるが、欧州委は加盟国の判断で事業者にも電子インボイスへの対応を義務付けることが可能と説明している。