2014/3/24

総合 –EUウオッチャー

ギリシャと「トロイカ」の協議終了、次回融資実施が決定

この記事の要約

ギリシャ政府は18日、欧州委員会と欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)との財政再建をめぐる交渉が妥結したと発表した。これによって債務危機対応の次回融資の実施が決まり、5月に満期を迎える93億ユーロの国債の償還に […]

ギリシャ政府は18日、欧州委員会と欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)との財政再建をめぐる交渉が妥結したと発表した。これによって債務危機対応の次回融資の実施が決まり、5月に満期を迎える93億ユーロの国債の償還に必要な資金を確保した。

信用不安で深刻な債務危機に陥ったギリシャは、EUとIMFから2010年に1,100億ユーロ、12年に1,300億ユーロの緊急金融支援を取り付けた。その見返りとして、厳しい緊縮策を柱とする財政再建計画の実施を求められており、「トロイカ」と呼ばれる欧州委、ECB、IMFの合同調査団が定期的に最新状況をチェックすることになっている。数段階に分かれる融資の実施には、この検査をクリアすることが必要となる。

トロイカは約85億ユーロに上る次回融資実施の前提となる最新のチェックを昨年9月に開始したが、公務員追加削減や、政府が発表した2013年のプライマリー・バランス(基礎的財政収支)の黒字化の実態把握、これで生じた余剰資金の用途などをめぐる協議が難航し、交渉期間は過去最長の6カ月以上に及んでいた。

サマラス首相によると、トロイカはギリシャの13年のプライマリー・バランスが約13億ユーロの黒字になったことを確認。新たな財政緊縮策を求められることなく、次回融資の実施を取り付けた。黒字額の用途についても、5億ユーロを低所得層支援などに回すことでも合意した。

ギリシャは債務危機が最悪期を脱し、低迷が続いている経済も昨年10~12月期は前年同期比2.6%のマイナス成長となったが、マイナス幅は前期の3.0%から縮小した。10年物国債の流通利回りも7%を下回っており、国債市場復帰も視野に入ってきた。18日には2位銀行のピレウス銀行が、債務危機発生後の国内銀行による起債としては初となる5億ユーロ相当の社債発行が成功し、ギリシャ金融市場への投資家の信頼が回復していることが確認された。