2014/3/24

産業・貿易

口座情報の自動交換で合意、ルクセンブルクが反対取り下げ

この記事の要約

EUは20日の首脳会議で、加盟国間で銀行の口座情報を自動的に交換する制度の導入で合意したと発表した。同制度をめぐってはルクセンブルクが域外銀行との競争が不利になるとして反対していたが、最終的に譲歩した。 銀行口座の情報交 […]

EUは20日の首脳会議で、加盟国間で銀行の口座情報を自動的に交換する制度の導入で合意したと発表した。同制度をめぐってはルクセンブルクが域外銀行との競争が不利になるとして反対していたが、最終的に譲歩した。

銀行口座の情報交換は、国境を越えた租税回避対策の一環として導入されるもので、税務当局が国外の銀行口座を利用した課税逃れの実態を把握しやすくし、税収増につなげるのが狙い。債務危機を受けた緊縮財政が続くなか、EU加盟国は脱税や租税回避で年間1兆ユーロ規模の税収を失っているとされる。

ルクセンブルクはオーストリアとともに一貫して口座情報の自動交換に難色を示していたが、スイスやリヒテンシュタインなど周辺の非加盟国とも情報交換ができるよう交渉することを条件に同制度の受け入れに基本合意した。しかし、欧州委員会とこれら周辺国との交渉に進展がみられると、ルクセンブルクはEUが税逃れ対策を強化した場合、域内の銀行が域外行との競争で不利に立たされるなどと主張し、再び態度を硬化。11日に開かれた財務相理事会では合意に至らず、結論は首脳会議に持ち越されていた。

ファンロンパイ大統領は今回の合意について、「加盟国が租税詐欺と脱税をより厳しく取り締まるために不可欠だ」と強調。「欧州が租税情報の自動交換に関する新しい世界共通標準に全力で取り組んでいるという明確なメッセージだ」と述べた。