2014/3/24

産業・貿易

派遣労働者の権利に関するEU指令、全加盟国で国内法の整備が完了

この記事の要約

欧州委員会は21日、すべてのEU加盟国で派遣労働者と正規労働者の間の均等待遇などを定めた「派遣労働指令」に基づく国内法の整備が完了し、各条項が概ね適正に運用されているとの報告書をまとめた。 派遣労働指令は6年におよぶ協議 […]

欧州委員会は21日、すべてのEU加盟国で派遣労働者と正規労働者の間の均等待遇などを定めた「派遣労働指令」に基づく国内法の整備が完了し、各条項が概ね適正に運用されているとの報告書をまとめた。

派遣労働指令は6年におよぶ協議を経て2008年10月に採択され、加盟国は11年12月までに国内法を制定することが義務付けられていた。派遣労働指令は給与、労働時間、休暇、休憩時間などの労働・雇用条件について、契約開始日から正規労働者と同等とすることを規定している。さらに出産・育児休暇の取得、研修やトレーニングの機会、保育施設の利用などについても正規労働者と同等の権利を保証しており、例外を設けるには各国で労使間の合意が必要となる。

欧州委は報告書の中で、すべての加盟国でEU指令に沿って派遣労働者を効果的に保護し、同時に企業が柔軟に労働力を活用するための枠組みが構築されていると指摘。また、ほとんどの国で監督当局、派遣会社、中小企業を含めた雇用者側のいずれでも、新ルールを導入するための追加的なコストは生じていないと分析している。

欧州委はそのうえで、EU指令は労働派遣業に対する規制を労働者の権利保護という目的に照らして妥当なものに限定するよう求めているが、実際には多くの国で派遣労働者の受け入れを制限する従来からの規定が残っていると指摘。雇用創出や柔軟な働き方を推進する観点から、各国当局に対して不必要な規制を取り除くよう求めるとともに、引き続きEU指令の適用状況を監視し、必要があれば加盟国に対して法的措置を検討すると警告している。