2014/3/24

産業・貿易

ブルガリア、外資系配電会社の事業免許取り消しへ

この記事の要約

ブルガリア、外資系配電会社の事業免許取り消しへ ブルガリアの電力・水道事業監督機関である国家水・エネルギー規制委員会(DKEVR)は19日、外資系の配電事業者3社に対する事業免許取り消しの手続きを開始したと発表した。国営 […]

ブルガリア、外資系配電会社の事業免許取り消しへ

ブルガリアの電力・水道事業監督機関である国家水・エネルギー規制委員会(DKEVR)は19日、外資系の配電事業者3社に対する事業免許取り消しの手続きを開始したと発表した。国営電力会社NEKに対する支払いが遅れたことで「エネルギーの安定供給が脅かされている」というのが理由。3社は7日以内に総額3億1,800万レフ(2億2,600万ドル)をNEKに支払うと共に、14日以内に事情説明の文書を提出するよう求められており、DKEVRは4月7日の次回会議で今後の対応を協議する方針を示している。

DKEVRが事業免許の取り消しを検討しているのはオーストリアのTVN、チェコのCEZ、エネルゴPRO。3社は規定により、再生可能エネルギー事業に対する優遇策として受け取った補助金を18日までにNEKに支払うよう求められていたが、太陽光や風力発電施設への投資が未回収であることを理由に支払いを拒否。DKEVRは3社の対応によってNEKは運転資金の確保が困難な状況に陥ったとし、免許取り消しに向けた手続きに着手したと説明している。

ブルガリアでは昨年2月、電気料金の高騰に抗議するデモが政府に対する全国規模の抗議運動に発展し、ボリソフ政権は内閣総辞職に追い込まれた。これを受けて5月に誕生した中道左派の社会党政権は2度にわたり電気料金の値下げを実施。この影響でNEKの負債は昨年末の時点で20億レフに膨れ上がり、地元メディアによると配電3社からの支払いが滞ったことで、同社は債務不履行の状態に陥ったとみられている。

ブルガリア経済はようやく長期にわたる深刻な景気後退から脱却の兆しが見え始めたところだが、仮にCEZなど3社の事業免許が取り消される事態になれば外国資本の投資意欲が減退することは避けられない。政府は今回の問題が電気料金に影響することはないと明言しているが、電力会社はいずれも厳しい経営環境にさらされており、専門家からは電力供給システムを維持するには値上げが不可避との意見が出ている。