2014/3/31

総合 –EUウオッチャー

ユーロ圏のデフレ懸念が増幅、スペインのインフレ率がマイナスに

この記事の要約

スペインの国家統計局は28日、3月のインフレ率は前年同月比マイナス0.1%だったと発表した。インフレ率の低下は2009年10月以来。ユーロ圏の主要国では初となる。ユーロ圏では同日発表されたドイツのインフレ率(EU基準)も […]

スペインの国家統計局は28日、3月のインフレ率は前年同月比マイナス0.1%だったと発表した。インフレ率の低下は2009年10月以来。ユーロ圏の主要国では初となる。ユーロ圏では同日発表されたドイツのインフレ率(EU基準)も0.9%と、前月から0.1ポイント縮小したこともあってデフレ懸念が増幅しており、欧州中央銀行(ECB)に追加金融緩和を求める圧力が強まってきた。

ユーロ圏の2月のインフレ率は、ECBが上限目標値とする2%を大きく下回る0.7%。EU統計局が31日に発表する3月のインフレ率は、スペインの低下、ドイツの縮小により、過去最低を更新するのが確実な状況だ。

ユーロ圏では2月までにギリシャ、ポルトガル、スロベニア、キプロスの4カ国でインフレ率がマイナスに突入していた。第4の経済国であるスペインが加わったことで、日本のようなデフレに陥る懸念が一段と強まってきた。

ユーロ圏18カ国に適用されるECBの最重要政策金利は過去最低の年0.25%。4カ月連続で据え置かれている。市場ではECBが3日に開く定例政策理事会で、デフレ回避に向けた金融緩和を検討するとの見方が広がっているが、利下げの余地は狭い。景気回復も進んでいる。そこで注目されているのが、「アウトライト・マネタリー・トランザクション(OMT)」と呼ばれる国債購入拡大プログラムだ。

OMTは、ECBがユーロ圏の重債務国の国債を流通市場で無制限で買い入れる措置。債務危機対策として2012年9月に発表されたが、危機沈静化を受けて、これまで実施されたことはない。

OMTをめぐっては、デフレ懸念が浮上してから実施の可能性が取り沙汰されてきたが、ドイツが後ろ向きなこともあって見送られてきた。しかし、ECB理事会のメンバーであるドイツ連邦銀行(中央銀行)のヴァイトマン総裁が先ごろ容認の姿勢を打ち出したことから、次回の理事会で実施を決めるかどうかが注目を集めている。