チェコ政府は24日の閣議で、EUの財政規律強化に向けた新協定への参加を決定した。議会の承認によって参加が正式に決まれば、協定未参加国は英国と、昨年7月にEUに加盟したばかりのクロアチアだけとなる。
チェコの中道右派の前政権はEU統合の深化に懐疑的で、財政新協定への参加を拒否していた。しかし、2月に発足したソボトカ首相率いる中道左派3党の連立政権は、将来のユーロ導入に向けた布石として、協定に参加する方針を打ち出していた。
2013年1月に発効した財政新協定は、債務危機の再発防止が目的。参加国は財政均衡を維持するため、単年の財政赤字を国内総生産(GDP)比0.5%以内に抑えることを求められる。累積債務がGDP比60%以内に収まっている国については、赤字がGDP1%まで許容されるが、EUの財政規律を定めた安定成長協定のGDP比3%より厳しくなる。
赤字が同上限を超えた国は、自動的に財政改善を求められ、対応が不十分な場合は欧州司法裁判所からGDP比0.1%に相当する制裁金の支払いを命じられる。財政規律に違反した場合の制裁規定も強化され、加盟国の過半数が反対しない限り発動する。ただ、これらの規定は、ユーロ参加国のみに適用される。非ユーロ参加国はユーロを導入するまで、自ら指定した項目に限って拘束される。
チェコの財政新協定参加には、上院・下院ともに3分の2を超える支持が必要。連立与党は上院で3分の2の議席を確保しているものの、下院(定数200人)では111議席しかなく、協定批准に9議席足りないため、野党の協力が不可欠となる。新政権は年内の批准を目指し、野党との交渉に望むことになる。