イタリアのドラギ首相は14日、連立与党の一角を占める左派「五つ星運動」の協力が得られなくなったとして、辞任すると表明した。同日、マッタレッラ大統領に辞意を伝えたが、マッタレッラ氏は政局の不安定化を懸念して受理を拒否し、議会で収集を図るよう指示した。伊メディアによると、ドラギ氏は20日に議会で演説する見通しで、その後、信任投票が実施される可能性が高い。
議会上院では14日、物価高騰を受けた家計の負担軽減策を盛り込んだ重要法案の採決が行われた。法案は賛成多数で可決されたが、コンテ前首相率いる五つ星は対策が不十分として投票を棄権した。ドラギ政権は左右両派の主要政党が入り交じる大連立で、五つ星が離脱しても上下両院で過半数の議席を確保できる。しかし、ドラギ氏は五つ星の支持がない状態での政権運営は困難と判断した。
ドラギ氏は「連立政権を支えてきた挙国一致体制はもはや存在しない。与党の信任がない状態で政策を進めることはできない」と述べた。
ドラギ氏は欧州中央銀行(ECB)の前総裁。新型コロナウイルス感染拡大への対応が急務となる中、2021年2月に首相に就任した。議会で各政党の信任が得られれば、ドラギ氏が辞意を撤回して続投するシナリオも考えられるが、交渉が不調に終わった場合、今秋にも総選挙が実施される可能性がある。