欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2022/8/1

EU情報

ユーロ圏のGDP、4~6月期は0.7%増

この記事の要約

EU統計局ユーロスタットが7月29日に発表した2022年4~6月期のユーロ圏の域内総生産(GDP、速報値)は実質ベースで前期比0.7%増となり、伸び率は前期の0.5%(速報値の0.2%から改定)を上回った。ロシアのウクラ […]

EU統計局ユーロスタットが7月29日に発表した2022年4~6月期のユーロ圏の域内総生産(GDP、速報値)は実質ベースで前期比0.7%増となり、伸び率は前期の0.5%(速報値の0.2%から改定)を上回った。ロシアのウクライナ侵攻、物価高など景気圧迫要因が多かったものの、新型コロナウイルス感染拡大に伴う社会・経済活動の制限が緩和され、経済再開が進んだ効果が大きく、予想を上回る成長となった。だた、最大の経済国であるドイツがゼロ成長になるなど、先行きは厳しい見通しだ。(表参照)

今回の速報値はドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、スウェーデン、チェコなどEU11カ国の統計に基づいて算出された。前年同期比の伸び率は4.0%で、前期の5.4%を下回った。27カ国ベースのGDPは前期比が0.6%増、前年同期比が4.0%増。前期比は前期と同水準、前期同期比は1.5ポイント縮小した。

ユーロ圏がプラス成長となるのは5四半期連続。同期はウクライナ情勢、それに伴うエネルギー価格などの上昇、サプライチェーン混乱の影響などで失速すると目されていた。しかし、経済再開が進んだことで堅調を維持した。特に観光再開が南欧諸国に追い風となり、

スペインは前期比1.1%増、イタリアは同1.0%増、フランスは同0.5%増と大きく持ち直した。

一方、ドイツは天然ガスの多くをロシアに依存しているためエネルギー危機の影響が大きく、ゼロ成長にとどまった。前期の0.8%増から急ブレーキがかかった。

 今後については、物価高、サプライチェーン混乱、ロシア産天然ガスの供給削減などが引き続きユーロ圏経済の不安材料となる。特に物価は、同日発表されたユーロ圏の7月のインフレ率が前年同期比8.9%と、最高記録を更新しており(後続記事参照)、下がる気配もない。

このため、7月21日に11年ぶりの政策金利引き上げに踏み切った欧州中央銀行(ECB)が、9月に0.5ポイントの再利上げを実施するとの観測が強まっている。ただ、追加の金融引き締めは経済回復を妨げる側面もあり、エコノミストらの間では7~12月はマイナス成長に陥るとの見方が出ている。