EUが天然痘に似たウイルス感染症「サル痘」の流行への警戒を強めている。欧州委員会のキリアキデス委員(保健担当)は7月27日、EU各国の保健相に送った書簡で、EUがサル痘感染の「中心地」になっていると危機感を表明し、加盟国が協調して対応する必要性を強調した。
キリアキデス委員は同書簡で、各国に対策として感染状況を的確に把握し、EUに報告することや、濃厚接触者の追跡、隔離などを要請。追跡、隔離に関しては、EU保健当局の欧州疾病予防管理センター(ECDC)の勧告に沿って明確なガイドラインを設けるよう求めた。
一方、感染者が同性愛者の男性に集中していることについては、こうした人々への差別が起こらないよう対策を講じる必要があると指摘した。
EUでは欧州医薬品庁(EMA)が22日、デンマークのバイオ医薬品企業ババリアン・ノルディックが開発した天然痘ワクチン「インバネックス」について、サル痘への使用承認を勧告。世界保健機関(WHO)がサル痘緊急事態を宣言した23日の翌日に欧州委員会が正式承認した。EUは16万回分の同ワクチンを確保済みで、接種を進めていく方針だ。