英政府は15日、米モデルナが開発した新型コロナウイルスの従来株と変異株「オミクロン」に対応する2価ワクチンを承認したと発表した。成人(18歳以上)のブースター接種(追加接種)に使用する。英メディアによると、2価ワクチンの承認は世界初という。
英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は今回の決定について、臨床試験で追加接種によって従来株とオミクロンの1つ「BA.1」の両方に対して「強い免疫反応」が示される一方、副反応は従来のワクチンと同程度で、品質や安全性および有効性に関する基準を満たしていると判断したと説明。また、足元で流行している派生型「BA.4」と「BA.5」に対しても「良好な免疫反応」がみられ、効果が期待できるとしている。
MHRAのジューン・レイン長官は「英国で使用されている第1世代のワクチンは引き続き新型コロナから多くの人の命を救っている。新たに承認した2価ワクチンは、進化し続けるウイルスから人々を守るためのより強力な武器となる」とコメントした。
モデルナは声明で「オミクロンに対応した2価ワクチンとして初の承認で、冬に向けて英国の人々を守る上で重要な役割を果たす」と強調。オーストラリアやカナダ、EUの医薬品規制当局からも近く承認が得られるとの見通しを示した。
欧州医薬品庁(EMA)は6月、米ファイザー/独ビオンテックと、モデルナが開発したオミクロン対応型ワクチンについて、それぞれローリングレビュー(逐次審査)を開始した。さらに今月9日には、従来株と「BA.4」「BA.5」に対応したファイザー/ビオンテック製の2価ワクチンについてもローリングレビューを開始している。EMAは変異株対応ワクチンの承認に向けた作業スケジュール明らかにしていないが、各加盟国が感染の再拡大が予想される秋から冬にかけて追加接種のキャンペーンを計画的に進められるよう、9月末までに承認される可能性が高い。