フィリップスCEOが10月退任へ、リコールによる株価低迷で「途中降板」

オランダの医療機器大手フィリップスは16日、フランス・ファン・ホーテン最高経営責任者(CEO)が10月に退任すると発表した。同社は睡眠治療関連機器のリコールを受けて株価が1年前と比べて50%以上下落しており、2023年4月までの任期途中で退任する。後任は、遠隔医療やIOTによるサービスを展開するコネクテッドケア部門を率いるロイ・ヤコブス氏。9月30日に開く臨時株主総会でCEO交代を正式決定する。

ファン・ホーテン氏は11月4月からフィリップスのCEOを務めている。1891年の創業当時から同社の顔だった照明事業や家電事業などを切り離し、フィリップスを収益率の高い医療機器などに特化したヘルスケア企業に転換させた。

フィリップスは新型コロナウイルス感染症で需要が急増した人工呼吸器や生体情報モニタなどを増産し、業績を伸ばした。しかし、一部の睡眠治療関連機器に使用されている素材が経年劣化などで飛散し、吸引するとアレルギーなどを引き起こす恐れがあるとして、21年6月、睡眠時無呼吸症候群の患者などに使用されていた睡眠ケア製品の自主回収を発表。対象となる約520万台の回収・修理に関連する費用として2億5,000万ユーロを計上した影響などで、株価が低迷している。

フィリップスは声明で、監査役会とファン・ホーテン氏が「3期目の任期満了が近づく中で、トップ交代の適切な時期を迎えたとの認識で一致した」と表明。フェイケ・シーベスマ監査役会会長は後任のヤコブス氏について、幅広い国際経験があり、リコール後の事業立て直しを主導するなど、社内の問題を解決に導くことができる人材と評価している。

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