EUのロシア産石油禁輸措置が12月5日に発効するのを控え、ハンガリーとセルビアが10日までに、両国を結ぶ石油パイプラインの敷設で合意した。セルビアがクロアチアの代わりにハンガリーを経由してロシア産の石油を調達できるようにする狙い。ウクライナ侵攻に関連するEUの対ロ制裁に批判的なハンガリーと、EU加盟候補国でありながら、EUと異なる対ロシア外交政策をとるセルビアが手を組んだ形で、EUが一枚岩ではないことを印象付けたい両国の思惑が一致した形だ。
セルビアはこれまで、クロアチアのクルク港から伸びるヤナフ・パイプラインでロシア産の原油を調達してきた。しかし、禁輸措置が発効すると、この道が閉ざされる。一方、ハンガリーはエネルギー資源で特にロシアへの依存度が高い国の一つとして、ドルジバ・パイプラインで引き続きロシアから原油を調達することが認められている。
両国のパイプラインを接続すれば、ハンガリー経由でセルビアへ供給できるというわけだ。 セルビアのブチッチ大統領はすでに8日、エネルギー調達多様化計画の一環として、北部ノヴィ・サドからハンガリーへ向かう全長128キロのパイプライン建設を発表した。建設費は約1億ユーロとなる見込み。