VW、カナダで電池セル工場の候補地探し

独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)のオリファー・ブルーメ最高経営責任者(CEO)とカナダのフランソワフィリップ・シャンパーニュ技術革新・科学・産業相は1日、VWの本社所在地ヴォルフスブルクで、協定の締結式を行った。8月に署名した趣意書を具体化するもので、VWはカナダで車載電池セル工場(ギガファクトリー)の候補地を模索する。北米での正極材サプライチェーン構築に向けては、VWの電池子会社パワーコとベルギーの素材会社ユミコアが協業する方向だ。

VWは2030年までに電気自動車(BEV)を25モデル以上、北米市場に投入する。カーボンフットプリント(製品ライフサイクル全体で排出される温室効果ガスの総量)をできるだけ少なくするため、同地にギガファクトリーを設置するとともに、電池材料のサプライチェーンを構築する。鉱物資源が豊富なカナダは原料の採掘から加工で大きな役割を果たす見通しのため、8月にカナダ政府と趣意書を締結していた。

ブルーメ氏は今回の調印に当たって、北米で電動車市場が急速に成長する見通しや、カナダが労働者の人権・環境保護の面で高い水準を保っていることを指摘。北米地域のギガファクトリーの1つを同国に設置するのは「理にかなった選択肢」だと明言した。ギガファクトリーの候補地は十分な量の再生可能エネルギー電力を確保できることが前提となる。

パワーコは9月、ユミコアと車載電池材料を生産する合弁会社の設立で合意した。電動車の普及に伴い需要が増える電池正極材を、競争力を保てる価格で安定調達する狙いで、折半出資の合弁をブリュッセルに設立。25年から正極材と前駆物質の生産を開始し、パワーコの欧州ギガファクトリーに供給することになっている。

パワーコは正極材を北米でも安定確保するため、ユミコアと今回、基本合意を締結した。27年から正極材と前駆物質の供給を受ける。30年には供給量がBEV55万台分に相当する最大40ギガワット時(GWh)となる見通しだ。

ユミコアはカナダで正極材・前駆物質工場の建設を23年に開始する。製品は複数の企業に供給することになっている。

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