仏電力公社(EDF)がポーランド同業リスペクト・エナジーと同国での原子力開発事業で提携した。小型モジュール炉(SMR)「NUWARD」の設置プロジェクトを共同で推進する。ポーランド政府が脱炭素化に向けてエネルギー転換を方針として掲げるなか、同国市場における地盤を固める狙いがある。
両社はまず、特定の立地候補の評価作業を行う。その結果を踏まえて事業・資金計画を策定する。
EDFは、ポーランドにおける原子力発電能力の整備で受注を狙ってきたが、これまでに発注先が決まったプロジェクト2件では、米ウエスチングハウスと韓国水力原子力発電(KHNP)に先を越された。国の資金で実施が予定されるもう1件は、何としてでも獲得したいところだ。「欧州製」の技術であることや、今回のリスペクトとの提携をアピールして売り込みをかけている。
加圧水型のSMRであるNUWARDは、EDEが仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)、小型炉開発のテクニカトム、原子炉のフラマトムと共同開発しており、現在、概念設計段階にある。昨春のEDF発表によれば、年内に基本設計フェーズが始まり、2025年に完了。30年にプロトタイプの建設に着手する計画だ。
NUWARDは出力170メガワット(MW)の加圧水型炉を2基備え、耐用年数は60年。将来的には量産が予定される。フランスとチェコ、フィンランドの原子力規制当局は昨年6月、NUWARDの設計を共同で審査すると発表した。欧州における規制条件を調整し、SMRの国際承認を加速させる狙い。NUWARDをケーススタディとして活用する。